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20181129Z_0
- 2018/11/29◥
- SYSTEM◥
- 00:23:58
- アラン様が入室しました。
- SYSTEM◥
- 00:24:33
- ルシア様が入室しました。
- ルシア◥
- 00:24:37
- お待たせしました。
- アラン◥
- 00:24:46
- はい
- ルシア◥
- 00:25:23
- 場所も開幕の描写もお任せしますね(丸投げ
- アラン◥
- 00:25:59
- 神殿でいいか
- ルシア◥
- 00:26:04
- 構いませんよ。
- アラン◥
- 00:27:47
-
- 00:27:48
-
- 00:28:22
- ―――イルスファール王都・始祖神ライフォス神殿。
- 00:29:09
- そこに、久方ぶりに足を運ぶ。
- 00:31:39
- 日中ではあるが、ちょうど人は疎らな時間帯だ。
- 00:32:39
- 狙ってこの時間に来たというわけではないが、なんとなく、今の気分には合っていた。
- 00:33:27
- ぎ、と礼拝堂の扉を開く。
- ルシア◥
- 00:34:21
- 「――ええ、どうぞお気をつけてお帰りください」 人気の少ない礼拝堂の中には、静かな声もよく通る。
- 00:34:54
- 奥を見やれば、この時間の最後の礼拝客を神官が見送る所だったようだ。
- アラン◥
- 00:35:58
- 「―――」 久しぶりに来たせいだろうか。なんだか、すこし緊張がある気がする。以前は毎日気軽に来ていたのに、おかしなものだな、と自分で思う。 「―――と」
- ルシア◥
- 00:36:12
- 礼拝者は神官へと深く頭を下げると、踵を返し出口へと向かう。去り際に、アランに対してもしっかりと頭を下げた。
- アラン◥
- 00:36:47
- 頭を下げ返して、少しそのまま見送った後、扉を閉める。
- ルシア◥
- 00:37:16
- 「……」 その姿が完全に見えなくなるまで微笑みを浮かべて見送った後、新たな訪問者へと視線を向けた。 「珍しいですね、神殿にいらっしゃるのは」
- アラン◥
- 00:38:25
- 「……珍しい、ってわけでは―――……いや。まあ、最近は、来てなかったしな」
- ルシア◥
- 00:39:13
- 「私が神殿で貴方をお見かけするのは久しぶりだったものですから」
- 00:39:51
- 「このような問を貴方にするのもおかしな話ではありますが――今日はどのようなご用向きで?」
- アラン◥
- 00:41:13
- 「今日は――……ただ、祈りに」
- 00:42:11
- 答えると、最前列まで歩いて行き、始祖神の神像の前に跪く。
- ルシア◥
- 00:42:15
- 「でしたら、丁度良い時間でしたね。今はこの通り、他の礼拝者はいらっしゃいません」
- 00:42:28
- その横に静かに控えていよう。
- アラン◥
- 00:44:10
- (丁度いい、か) なんだか見透かされているような心持ちに若干なりつつ。
- ルシア◥
- 00:45:03
- 「祈りを捧げる際には、雑念を交えてはなりませんよ」
- 00:45:15
- それだけ言って、しばらく口を閉じる。
- アラン◥
- 00:45:33
- 「ん」 短く答え頷いて。
- 00:46:36
- ふぅ、と息を一つ吐いた後、「――――――」 目を瞑り、手を組んで。暫くの間、その姿勢のまま微動だにしない。
- ルシア◥
- 00:49:48
- 「…………」 アランが祈り終えるまで、ただ静かに目を閉じて待つ。
- アラン◥
- 00:50:46
- 一分、二分。――五分。…………十分は経っただろうか。
- 00:51:25
- 組んだ手が、僅かに震える。
- ルシア◥
- 00:52:24
- 「答えは見つかりそうですか?」 動きが生じたのを見て、肩越しに静かに声を掛けた。
- アラン◥
- 00:54:01
- 「―――」 組んだ手を解き、ゆっくりと立ち上がる。上げた顔には、少し影があるように見える。 「……答え、か」
- 00:55:17
- かぶりを振って。「……わからない」
- ルシア◥
- 00:56:47
- 「そうでしょうね」 分かり切っていたとでも言うように頷いて、近くの長椅子に腰掛けた。 「神に祈りを捧げるだけでいつでも答えが得られるのならば、生きる事はもっと容易いでしょう」
- アラン◥
- 00:57:49
- 神像を見上げ、「何が大事なのかは、わかっているつもりなんだ」 アンスレイと、ユウェルと。二人と話して、どちらとも、やはり同じようなところに話が至った。
- ルシア◥
- 00:58:35
- 「分かっていても割り切れない何かがある、と? あるいは何かを怖れているのでしょうか」
- アラン◥
- 00:59:26
- 「……」 礼拝堂の中央の道を挟んだ、ルシアとは逆側の長椅子に腰掛ける。
- 01:00:03
- 「ルシアはさ」
- ルシア◥
- 01:00:16
- 「はい?」
- アラン◥
- 01:00:57
- 「……誰かを嫌悪したり、憎いと思ったことは、あるか?」
- 01:01:10
- 「その……蛮族とか、アンデッドとかじゃなくて……同じ、人をさ」
- ルシア◥
- 01:01:32
- 「人間を、ですか」
- アラン◥
- 01:01:46
- こくりと頷いた。
- ルシア◥
- 01:02:54
- 「ありません」 ゆっくりと立ち上がり、神像の前へと歩み出て、見上げながら手を伸ばす。 「――と言いたい所ですが」
- 01:03:33
- 「人に対して負の感情を抱いた事は、何度もあります」
- アラン◥
- 01:04:44
- 「……ルシアは……それを……その気持ちを、どうして、いるんだ?」
- ルシア◥
- 01:05:39
- 「どう飲み込み、あるいは折り合いをつけているか、ですか」
- アラン◥
- 01:06:22
- 「そう……いうことになる、のかな」
- ルシア◥
- 01:07:21
- 「始祖神の御前で、嘘を吐くわけには参りませんね」
- アラン◥
- 01:07:57
- 「いや―――ごめん、話しにくいことなら、いいんだ」
- ルシア◥
- 01:08:19
- 振り返り、アランへと歩み寄り、柔らかな布に包まれた手でアランの頬に触れた。 「飲み込んでも、折り合いをつけてもいません」
- アラン◥
- 01:09:16
- 「―――」 え? と、きょとんとした顔で。
- ルシア◥
- 01:09:33
- 「誰かを嫌悪する気持ちも、憎む気持ちも。私の一部として、ありのままに受け入れています」
- 01:09:48
- 「……ふふ、意外そうなお顔ですね」
- アラン◥
- 01:11:20
- 「い……いや、けど、ありのままって言っても、じゃあ、どうして……」
- ルシア◥
- 01:11:29
- 「どうして、何ですか?」
- アラン◥
- 01:13:01
- 「……そんな、落ち着いていられるんだ」
- ルシア◥
- 01:14:33
- 「それは勿論、始祖神は変わらず私にご加護を授けてくださるからですよ」
- 01:15:28
- 「始祖神が私の憎しみ、恨みを持つべきものではないと判断なさるのならば、彼は私に罰をお与えになるでしょう」
- アラン◥
- 01:16:09
- 「それは――……」
- ルシア◥
- 01:16:10
- 「そうなさらない以上、私はこれで良いのだ――と、そう仰っているのだと思っています」
- 01:16:41
- 「……などと、神官らしい模範解答は望まれていませんか?」 くすりと、悪戯っぽい笑みを微かに浮かべた。
- アラン◥
- 01:18:37
- 「……俺は、恐いんだ」 俯き。
- ルシア◥
- 01:19:43
- 「恐い、とは?」 アランの隣に腰を掛け、その横顔を眺める。
- アラン◥
- 01:22:56
- 「……はじめは、多分、ただの憧れで」
- 01:23:18
- 「その次は、ただ守りたいって一心で」
- 01:24:49
- 「怒りもある時はあったけど――それは、義憤ってやつで。兎に角、戦う理由は、……俺なりに、良かれと思って……正義ってやつだったと思う」
- ルシア◥
- 01:25:54
- 「…………」 膝の上に手を重ねて置き、言葉に静かに耳を傾け続ける。
- アラン◥
- 01:28:17
- 「それが、多分、俺の真ん中に通ってる芯みたいなもので」 初心だとか。そんなふうに言ってもいい。
- 01:29:45
- 「けど……俺の中にあるこの気持ちが、それを、わからなくしちまう」 膝上で握りしめた手が震える。
- ルシア◥
- 01:31:57
- 「何を見て、何があって、どのような感情を胸に抱いているのかは、言葉に出来ますか?」
- アラン◥
- 01:38:14
- 「………―――戦、だった」 俯いたまま、ぽつりと。
- ルシア◥
- 01:38:26
- 「……戦?」
- アラン◥
- 01:39:13
- 「……俺は下っ端だったけど、それでも、何度も参加した。それが正義だって、それで皆を守れるって信じて」
- 01:39:52
- 「けど……仲間が、友人が、死んでいって」
- 01:42:12
- 「それでも……それでも、戦って。でも、だんだん、疑いを持つようになった」
- ルシア◥
- 01:42:36
- 「何故です?」
- アラン◥
- 01:43:58
- 「……順番が逆だったって、気づいちまったんだ」
- 01:45:19
- 「攻め始めたのは、俺達の方で―――報復に出ているのが、相手だったんだって」
- ルシア◥
- 01:47:05
- 「侵略者になるのは、嫌でしたか」
- アラン◥
- 01:49:45
- 「―――それも、きっとある。けど、何より」
- 01:52:19
- 「ただ、仲間が失われていくばかりの戦が、俺は―――ああ、憎いと思ったんだ。嫌悪したんだ。―――この戦いを始めた、あの、法王ごと」
- ルシア◥
- 01:53:48
- 「……成る程」 ようやく得心がいったと、息を吐いて頷く。
- 01:55:29
- 「隠していたその憎しみや嫌悪を、最近の何かしらの出来事が切欠で思い出してしまったのですね」
- 01:57:16
- 「恐れるのも道理でしょう。負の感情は容易に人の心を壊し、思いを狂わせる。貴方の信ずる正義が揺らぐのも無理からぬことです」
- 01:59:11
- 「さて、アランさん」
- 01:59:31
- 「それを思い出した先に、貴方は何を望むのですか?」
- アラン◥
- 01:59:33
- 「……思い出した……というより……そういう感情だったんだって。今になって、思い至っちまった」 あの頃の自分にとっては、ただ言いようのないモヤモヤだったのだろう。
- 01:59:55
- 「俺は……」
- 02:05:49
- 「…………」 はじめに、自分自身で言った。大事なものは解っている。自身の原風景。初心。骨子。 「それでも、誰かの為に、戦いたいんだ……戦う力のない人達の代わりに、戦うことのできる、俺が」
- ルシア◥
- 02:07:59
- 「それが理解出来ているのならば、大丈夫です。貴方の芯はまだ些かも歪んではいません」
- アラン◥
- 02:08:27
- 「―――、け、けど……」
- ルシア◥
- 02:09:20
- 「聖戦士を目指す者にとって、恨みや憎しみといった感情は相応しくない、とでもお思いですか?」
- アラン◥
- 02:10:14
- 「……」 頷いた。
- ルシア◥
- 02:10:54
- 「それはあまりに傲慢というものです」
- 02:12:16
- 「聖戦士と大仰な名がついていても、一人の人間である事に変わりはありません」
- アラン◥
- 02:12:36
- 「それは……そう、だが」
- ルシア◥
- 02:12:54
- 「神――始祖神でさえ、恨みや憎しみを抱いた事がないかという問には、首を横に振られるでしょう」
- アラン◥
- 02:13:27
- 「……」 神像を見上げる。
- ルシア◥
- 02:14:21
- 「只人の身でそこまでの清廉潔白を望むというのは、傲慢といって差し支えないでしょう」
- アラン◥
- 02:15:20
- 「けど、俺は……」
- ルシア◥
- 02:15:32
- 「俺は、何です?」
- アラン◥
- 02:15:49
- 「……嫌悪する相手と同じになりたくない一心で、剣を向けるべき相手にすら剣を向けられないかもしれない」
- 02:16:05
- 「いや――実際に、躊躇ってしまった」
- ルシア◥
- 02:18:56
- 「また同じ状況に陥った時に、同じように躊躇い、そして今度は手遅れになってしまう事を恐れているのですか」
- 02:20:49
- 「……それとも、言葉通りあの男と同じようになりたくないというだけでしょうか」
- アラン◥
- 02:22:33
- 「それは―――ああ、いや……」 肩を落とし。
- 02:22:53
- 「……結局、そういう気持ちがあるのが、俺自身が、許せないんだ、な」
- 02:24:37
- 口にしてみて、結局そういうことなのかと、思い至ってしまう。
- ルシア◥
- 02:24:45
- 「ですが、一度抱いた疑心、嫌悪を消す事は簡単な事ではありません」
- 02:25:26
- 「貴方は今後、ずっとその感情と共に生きていかなければならないのです」
- 02:25:31
- 「――その上で」
- 02:27:01
- 「貴方がもし今後、そのような気持ちが自分にある事が許せないと、そんな理由で振るうべき剣を振るわない時が訪れたのならば、貴方はその時法王猊下以下の人間に成り下がるでしょう」
- アラン◥
- 02:27:58
- 「―――」
- ルシア◥
- 02:29:02
- 「聖戦士とは、弱者救済、邪悪撃退を掲げた始祖神の使徒。いつ如何なる時も、守るべき者を守るために、剣を取らねばならぬのです」
- 02:30:42
- 「時には自分を許せずとも、納得出来ずともその感情を殺し、己の使命を果たす」
- 02:31:41
- 「貴方が目指したのは、そういう者ではないのですか?」
- アラン◥
- 02:32:07
- 「……」 自分の手のひらを見つめる。今、そこに剣はない。けれど。もし、力なき誰かの為に戦わなければならない時が来たなら――
- 02:32:15
- 「……ッ」 ぐ、と拳を握る。
- 02:32:43
- 「……ああ、そうだ」
- ルシア◥
- 02:35:05
- 「大いに悩み、惑い、迷いなさい。ですが、己の使命、信念だけは忘れてはなりません。立ち止まって考えるのは、剣を持たぬ時だけでいい」
- アラン◥
- 02:38:34
- 「―――」 黙って頷く。その瞳には、礼拝堂に来た時よりも力が籠もっているだろう。
- ルシア◥
- 02:39:27
- 「それでもまた恐怖に襲われた時は、私を訪ねて来ると良いでしょう」
- アラン◥
- 02:40:00
- 「……そんなことがないように、善処するよ」
- 02:40:35
- 「しかし、まだまだ未熟だな、俺。聖戦士どころか、始祖神の使徒としても……」
- ルシア◥
- 02:40:42
- 「それが最善ではありますが、道に悩む聖戦士にそれを指し示すのも、我々の役割でもあるのです」
- 02:41:04
- 「……本来であれば、ですが」 小さく呟いて、苦々しい表情を浮かべた。
- 02:42:08
- 「当然でしょう。先に語った理想を体現している聖戦士など、私は未だ一人も見たことがありません」
- アラン◥
- 02:42:47
- 「ルシアが言ってくれたこと、結局、当たり前のことだってのに―――……?」 何か呟かれた気がしたが、気の所為だろうか。
- 02:43:48
- 「なら、俺がそうなってやるぜ、って言いたいとこだけど、今日のザマじゃ説得力ないな」 苦笑浮かべ。
- ルシア◥
- 02:44:06
- 「その“当たり前”すら実現出来ていないのが、今のセフィリアです。そこで育った貴方が見失ってしまうのも、仕方のないことでしょう」
- 02:44:47
- 「期待していましょう。貴方が私の認める初めての聖戦士となることを」
- アラン◥
- 02:45:27
- 「……ルシア、あんた――……いや」 いいや、とかぶりを振り。
- 02:45:52
- 「おう、見ててくれよ」
- ルシア◥
- 02:47:37
- 「……」 頭を振るアランにくすりと小さく微笑んで見せて。
- 02:48:28
- 「このくらいにしておきましょう。万が一今日の私の発言が猊下のお耳に入ってしまっては、私は永遠にセフィリアへと帰る機を失ってしまうでしょうから」
- アラン◥
- 02:49:49
- 「ああ、そりゃ俺も困っちまう」 下手したら首が飛んじまうわ。
- 02:50:01
- 「――ま、ともかく」 よっと立ち上がり。
- 02:50:18
- 「……うん、今日はありがとう、ルシア。すげえ助かった」
- ルシア◥
- 02:50:21
- 「では、今日の会話はお互い内密に、ということで」 口の前で人差し指を立ててみせた。
- 02:51:30
- 「お力になれたのならば何よりです。貴方はまだ歪んではいないのですから、歪ませてしまうにはあまりに惜しい」
- アラン◥
- 02:52:03
- 「ああ」 嘘はダメだが、ま、これくらいの内緒話はいいだろう。
- 02:53:28
- 「ン―――期待に答えられるよう、頑張るよ」
- ルシア◥
- 02:54:17
- 「――ええ」 頷いて。 「それでは、私は職務に戻りますので、これで」
- アラン◥
- 02:56:51
- 「ああ。本当にありがとうな。代わりにってわけじゃないが、何かあったらいつでも呼んでくれよ」 特に力仕事とかいくらでも手伝うぜ、と。
- 02:57:50
- 「それじゃあ、また」 そう言うと、ルシアと―――そして神像に一礼をして、礼拝堂を出ていく。
- ルシア◥
- 02:58:59
- 「……」 その背を見送り、髪をかきあげながら神像に振り向き、見上げる。
- 03:00:58
- 「……そう、彼らが歪んでさえいなければ――」 そう独り言ちて、神殿の奥の部屋へと消えていった。
- SYSTEM◥
- 03:01:02
- ルシア様が退室しました。
- SYSTEM◥
- 03:01:09
- アラン様が退室しました。
- ◥
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発言統計 |
アラン | 79回 | 52.3% | 3026文字 | 51.8% |
ルシア | 72回 | 47.7% | 2811文字 | 48.2% |
合計 | 151回 | 5837文字 |