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20190211Y_0

2019/02/11
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15:47:47
名無し様が入室しました。
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15:48:00
 様が入室しました。
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15:48:01
名無し様が退室しました。
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15:48:05
様が入室しました。
15:48:38
おかりします
 
15:48:41
迂闊なやつm 戻ってきた
15:50:14
 
15:50:16
 
15:50:17
 
15:53:19
時刻は夕刻。陽が落ちはじめ、黄昏時の、黄金色の光が街並みと、そこで暮らす人々を照らし出している。
15:54:20
イルスファールの外壁から、はみ出したように成長した外周の町並み。いろいろな事情で、壁の中には住めなかった人々が寄り集まった辺りだ。
15:55:50
いずれはここも、さらに外側に作られる壁に囲われるというが、それはまだまだ先のこと。
15:57:42
辺りを見回せば、夕食時、家路へ急ぐ人々。壁の中の街に比べると、やはり少し雰囲気の違う、雑多な活気があった。
ゾール
16:00:10
「……」 各人の営みを、どこか遠くの風景のように見る。
16:04:36
それはゾールソモーンが〈星の標〉で、とある神官の女性とやり取りをした、その少し後のこと。――この先、その神官を巡る事件に関わっていくことを、今このときの彼女はまるで想像もしていない。
ゾール
16:10:07
ルシア、アプリルと話していたことが脳裏を巡る。やがて風景からは視線を外し、地面に目を落としていた。
16:15:50
ふと、自分は何故ここに居るのか、と自問が湧いた。
16:16:42
他愛のない目的を持って、自分はここイルスファールへと来た。
16:17:30
一人の冒険者に憧れて。
16:18:51
自由の元、自分も冒険者として、何かの役に立つために。
16:20:20
実際、前では考えられないぐらい、誰かに求められ、そしてそれをこなしてきたのだ。
16:21:43
妖精使いとしての腕も上がった。知識的な面でも、前よりわかるようになった。
16:23:16
少なくないの冒険者たちと共にし、やがては妖精以外にも話し相手というのが出来た。
16:25:15
総合的に見て、山を出る前よりも格段に、得た物は大きいといっていい。はずなのだ。
16:27:23
引っかかりがある。
16:28:17
どこか浮かばれない気持ち、のような。
16:31:40
いいや。ここまで振り返らなくたって、私はずっと、生涯、無念を抱えたままだ。
16:35:16
『かくあるべし』姿を持てなかった者が、ここで徘徊しているだけ。
16:36:04
――
ニルツェ
16:37:07
通りの反対側、少し離れた所にあった家のドアが開き、そこから、こんな声が聞こえた。「―――いいっていいって。それより、ちゃんと休んで、体を治しなよー。無理して働いちゃダメだかんね――」 
16:39:26
まとわりついてくる小さい子にかがんで、「あー、はいはい、また今度ね。それよっか、おかーさんの事ちゃんと見てやるんだよ。いい子にしてたらまた遊んであげるから」
16:39:54
「そんじゃーねー」 と、手を振り振り、歩き出す。
16:41:05
歩き出した所で――「んん?」 見知った背中が向こうに見えて、ふと足を止めた。少し首を傾げてから、そちらに向けて近づいていく。
16:41:18
「よっ」 とゾールの背中を叩いた。
ゾール
16:41:20
「……」 遠くに誰かの声が聞こえる。活気を更に作り上げるような声。
16:43:01
「っ……!?」 不意な衝撃につんのめり、慌ててそちらを向く。
ニルツェ
16:45:19
背中を叩いた手をひらひらっと振り、屈託のない笑顔で、 「やっほー、奇遇じゃん。めずらしいね?」 黄昏の光を受けて、元は銀糸の髪も金色に染まっている。
ゾール
16:45:45
「……ニルツェ」 緊張し見開いていた目が、やがて落ち着いていく。
16:47:17
笑み返すことなく、眩しいな、と少しばかり目を細めてニルツェを見ていた。
16:48:12
「そう……ね。誰かに会うと、思ってなかった」
ニルツェ
16:48:30
――」 相手のその様子。急に声をかけられた、だけの驚きではない、そんな雰囲気を悟りつつ、「なになに、ゾールんもコッチに用事?」
ゾール
16:50:55
「……」 返答に一呼吸置いた。 「歩いていたら、ここに」
ニルツェ
16:52:36
「そっか。お散歩かー」
ゾール
16:52:51
「これといった用事はなかった。……人の生活をまじまじと見ようと思ってるわけじゃないし、立ち去ろうか」
ニルツェ
16:55:10
「そんなら、少し行ったとこに、ちいさいお店があるから、そこへ行こう」
ゾール
16:56:04
「……そうしよう」 小さく頷いた。
ニルツェ
16:56:36
「ほい、決まりね」 そういってニルツェはゾールを連れて歩き出す。
16:58:51
「ニルは、薬を届けにきたんだよね。前にちょっと知り合った家の人が、病気で体調崩しちゃってさぁ」 子供育てるのも大変そうだよねえ、などと世間話をしながら歩いていく。
ゾール
17:01:03
「そう……薬を。調達出来ないと、大変ね」
17:04:47
ほどなくして、ニルツェ言う所の、小さなお店にたどり着く。露店のカウンターに、簡素なテーブル、椅子替わりの木箱を並べた、野外の酒場であった。夕刻という事もあり、地元の住人たちでそこそこにぎわっている。
ニルツェ
17:05:39
「おじさーん、お酒ちょうだい、お酒」 と、注文を済ませ、空いていたテーブルに席を取った。
ゾール
17:06:18
「なるほど、こういう」 店の様子を見て一言呟く。顔なじみになっているのだろうか、とニルツェを視線で追う。
ニルツェ
17:06:51
「ゾールんも好きなの頼みなよ」
ゾール
17:07:02
ニルツェの座ったテーブル席へとついた。
17:07:57
「……」 間を置いて。 「一番度数の高いやつ」 と言った。
ニルツェ
17:08:30
それを聞いて、ふはっ、と吹き出す。
17:08:50
「行くねえゾールん。今日はそういう気分?」
ゾール
17:12:49
「そう、そんな気分。別のを頼んだほうがいい?」
ニルツェ
17:14:55
「いいんじゃない! そのくらいじゃ潰れないのは知ってるし」
17:15:16
「それよか、ほら」 と盃を掲げて、乾杯のポーズ。
ゾール
17:16:36
「ん」 相手の盃を鳴らしに軽くぶつけに、こちらの盃をそこへ持っていった。
ニルツェ
17:17:33
「乾杯!」 かちん、と鳴る涼やかな音。
17:17:50
こくこくこく、と喉を鳴らして飲んで、「ぷはー」
ゾール
17:18:26
頷いて、口元へ持っていけば、そのまま全て飲み干した。
ニルツェ
17:19:19
―――」 ことん、と盃を置いて、 「……で?」
17:19:52
頬杖をつき、「どうしたの。何かあった?」 ちょっと様子おかしいぞ。と、優しい感じの声で尋ねた。
ゾール
17:21:02
空の盃をテーブルへ置き、ニルツェを見やる。
17:23:59
「……」 思いあぐねるように一度ニルツェから視線をそらしたが、
17:25:02
「まず、戯言と思ってくれていい」 最初にそう言い置いて。
17:26:53
「近況を振り返って、昔を思い出して……ここに来た目的とか、色々考えていた」
ニルツェ
17:26:54
―――」 ん、と頷いた。
ゾール
17:29:44
「結果的に、その目的自体は達成できてると思ってる。それで、ここで生きていけている」
17:31:21
「妖精使いとしてね」
ニルツェ
17:31:53
「………」 くぴ、と酒を一口飲んだ。
ゾール
17:33:52
「……最初に私を見て、どう思った?」
17:34:19
「冒険者の視点では、特に、何も思うところはなかったろうか」
ニルツェ
17:37:20
「冒険者の……? それって、冒険者として食べてくための力があるかっていう話?」
ゾール
17:39:41
「いえ。神官でもない、射手でもない、戦士でもない、杖を手にしたドワーフを見て。」
ニルツェ
17:41:53
「見て、って…… 別にニルはどうとも思わなかったけど?」
17:42:53
「ドワーフが杖を持っているのって、そんなにへんなこと?」
ゾール
17:44:08
「オブラートに包めば珍しい、大体そう言われる」
ニルツェ
17:45:37
「ん……。まあ、確かにそうかもね。槌を握るか、斧を握るか、って所あるし」
17:46:03
それともう一つは酒の盃。
ゾール
17:48:19
「……私は、ある冒険者を見て、その道を選んでみたい……いや。何も出来ないことが許せなかった」
ニルツェ
17:49:28
「それがゾールんが、妖精使いになる、きっかけになった冒険者のひとか」
ゾール
17:52:35
「ええ。リルドラケンの、妖精使いだった」 頷いて、 「だから……何も掴めずにいた自分がせめて、そこに、才があれば。……思えば賭けのようだった」
ニルツェ
17:55:13
「それで、その賭けには勝った、んだよね?」
ゾール
17:55:48
「そうね。それで、生きる道を得た」
ニルツェ
17:56:15
「だって、あんなに沢山の妖精をつかって、すごい魔法いくつも使えるもんね」 その魔法には何べんも助けられた。
17:57:28
「良かったじゃん――って話で終わらないんだね。今も、まだ、どっか引っかかるんだ?」
ゾール
17:58:15
「…………そう、よ」 空の盃に目を落とした。
17:59:11
「何で引っかかってるかは、わかってる。……でも、それはずっと解決することはない」
ニルツェ
18:00:09
―――
18:00:43
「……何が、引っかかってるの?」
ゾール
18:06:18
「私が、持たざる者であること。「かくあるべし」者になれなかったこと。」
ニルツェ
18:09:39
「ん…… ゾールんがなりたい自分は、こうじゃなかった、ってコト? でも、そのリルドラケンの冒険者さんに――
18:10:51
――違うか。妖精使いを目指す前に、ホントになりたかったものがあったのかな」
ゾール
18:13:40
「私は、ドワーフらしく……。……その血に違わぬ戦士になりたかった。でもそれが叶うことはない」
ニルツェ
18:14:17
「戦士……。――戦士かぁ」
18:16:08
「……聞いていいのか分からないけど」
18:16:37
「ゾールんの体の、その」 身体に残っている古い傷跡。 「訓練の跡……だったのかな」
ゾール
18:18:52
「そうよ。身体の傷は、未熟者が無様に受け続けた傷跡。敗者の証、ね」
ニルツェ
18:19:14
「は、敗者、って――
ゾール
18:19:46
「優秀な戦士の元に生まれたはずなのに。そんな子が訓練についていけない。とんだお笑い草よ」
ニルツェ
18:20:39
――そんな風に言うのは良くない。良くないよ」
ゾール
18:20:53
「本当のことよ。間違ってなんてない」
ニルツェ
18:21:20
「………」
18:21:41
思わず黙り込んで、盃に残った残りの酒をぐいっと煽った。
ゾール
18:22:46
「事実――」 そう言い続けようとして、押し黙った。
ニルツェ
18:23:09
――その優秀な戦士の、父親だか母親だかは、ゾールんみたいに妖精の力を使ったり出来るわけ?」
ゾール
18:24:28
「……想像出来ないし、出来ないはず」
ニルツェ
18:24:58
「……。――ニルが昔いた一座の座長もドワーフだったんだけどさ」
18:27:15
「昔取ったキネヅカで、得意なのは道化と玉乗りとジャグリング。斧を持っている姿なんて、二、三回しか見たことなかったよ」
18:29:59
良い感情も悪い感情も、色々な感情がないまぜになった、何とも言い難い笑み。「ゾールんの話聞いてて、ちょっと思い出しちゃった」
18:31:13
――あのおっさん言ってたなあ、やりたいことと、向いていることが揃っている方が珍しいんだって」 まあ、それで、やりたくない事もやらされる羽目になったから、正直フクザツだけど。と苦笑した。
ゾール
18:33:27
「………そう」 浮かない顔で一息。
ニルツェ
18:35:07
「……」 ゾールの顔を見て、カウンターの方に手を挙げた。 「――おじさーん、もう一杯!」
18:35:20
ほどなくして新しい酒が運ばれてくる。 「ありがと」
18:35:59
先ほどと同じ、強い酒をゾールの前に置いて。
ゾール
18:39:00
「…………このまま付き合うつもり?」 ニルツェを一瞥。
ニルツェ
18:39:29
「そりゃあもう、トコトン付き合うよ。嫌じゃなければね」
ゾール
18:43:01
「……それなら、せめて、違う話にしようか」 両肘をテーブルに置いて、両手に顎を軽くのせる。
18:43:20
「聞いてて気分のいい話でもないでしょう」
18:43:57
「少し吐露しただけで充分、だろうから」
ニルツェ
18:44:03
「こういう時はさ、吐き出せるだけ吐き出すほうがいいんだよ。我慢は身体に毒ってね」 くぴくぴ。
18:45:36
「仲間としてはさ……。ニルには出来ない事がゾールんには出来るし、ゾールんに出来ないことがニルには出来る。それで良いじゃん、ってニルは思っちゃうんだけど――
18:46:40
――多分、自分自身の折り合いの話だから」
18:47:49
「ニルとしては、こうやって一緒にお酒飲んで、話を聞くくらいの事しかできない」
18:49:14
「だから、せめてトコトン付き合う」 にっ、と笑ってみせた。
ゾール
18:53:21
「………折り合い、か」 神妙な面持ちで。
ニルツェ
18:55:03
「……自分じゃそう思っていないのかもしんないけど、周りの人で、ゾールんを認めていない人はいないよ?」 ゾールん以外は、ね。
ゾール
18:57:41
「……ありがたいことね」 頼んでくれた酒を煽る。
18:58:22
一気には飲まず、ほどほどに残しながら盃をテーブルに置いて、 「そうね……いつか自分自身を認められそうな、そんな日がくるかはわからないけど」
18:59:32
「その時まで付き合ってくれるなら、これほど嬉しいことはないのかもね」
ニルツェ
19:00:51
――ん! もちろん!」
19:03:04
そんな日が来るといいな。と、そう思いながら、「トコトン、ね」 ふたたび、盃に盃を合わせた。
ゾール
19:03:09
「自分には勿体無い、親友よ。貴女(ニルツェ)は」 そう、控えめに笑んだ。
ニルツェ
19:04:12
「………」 瞬き2、3度。照れと嬉しさがないまぜになった表情が顔に広がって、 「――へへ、こちらこそ」
19:04:23
おっと19時だ
ゾール
19:04:24
そうしてまた、訥々としつつも話し出す。
ニルツェ
19:06:45
いつの間にか、とっぷりと夜になり、空には無数の星が輝いている。その下で、ささやかな宴は、まだまだ続きそうだった。
19:06:53
 
19:06:54
 
19:06:57
といった所で
19:07:00
おわりかな
 
19:07:20
ありがとうございました(返信にかかる時間>>>発言量
19:07:28
おわりですねおつかれさまでした!!!!
19:07:31
おつかれさま!
19:07:38
サラバダ
SYSTEM
19:07:40
様が退室しました。
SYSTEM
19:07:41
 様が退室しました。
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