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20190308X_0

2019/03/08
SYSTEM
01:00:47
 様が入室しました。
TOPIC
01:01:45
〈星の標〉22時 by  
SYSTEM
01:03:22
 様が入室しました。
 
01:05:10
夜も更け、店内には客の姿がほとんどない。そんな折を見計らったかのように一人の少女がガルバの元へやって来た。
01:06:11
亜麻色の髪の少女は明日の仕込みの邪魔はしないから厨房を貸して欲しいのだという
01:07:37
自前で用意した料理器具に材料、掃除用の布巾など用意は万全のようだった。
01:09:27
少女がガルバから好きにしろという言葉を引き出すのにはそれほど時間を必要としなかった。
エナ
01:12:27
「さて」まず先に厨房の清掃を済ませた。これから使って汚す事になるが、気分の問題だ。
01:15:30
「材料は、と」持って来た材料を確認する。欠けがあってはいけない。分量、そして工程を正しく、それが基本だ。 薄力粉、オリーブオイル、ブラウンシュガー、卵、牛乳、オートミール、ドライフルーツ
01:18:02
清掃と菓子作りに気を向けていた少女は、そんな深夜の店内にあるひとつの気配に気付いただろうか。
エナ
01:18:25
「竈の方は再加熱の必要は無さそうね」ティースプーンですくった水を竈に落とす。チュン、と音立てて球になり、蒸発する
シア
01:19:46
「…………」 いつの間にか店の中に現れていた銀灰色の髪の少女は、カウンター席に座り、匂いが漂ってくる方向を無感情な瞳で見つめていた。
エナ
01:20:53
「はぁ…」まずはオイルに砂糖を混ぜて掻き回せる。今回はバターを使わずにクッキー作る予定だ。どうして菓子など作るのかといえば、一種の逃避、精神安定剤代わりだ。食べることがではなく作る事で
01:22:23
「……」手際よく、正確に精確に行程を進めていく。その様子は料理というよりは調合だ。集中しているのか、視線に気づいた様子はない。
シア
01:23:22
「……」 気配を断つわけでもなく、声を掛けるでもなく、しばらくの間その作業を眺めている。その手付きに、何処か薬品の調合じみたものを感じて興味が湧いたのか、目を離すことはない。
エナ
01:25:24
――」生地を作り、具材を混ぜ合わせるときっちりと分量を分け、形を整えたものを油紙の上に載せ、竈に差し入れた
シア
01:26:15
――…………」 そんな作業を大人しく見つめ続けて、どのくらい経っただろうか。 「エナ」 小さく、しかし静かな店内には十分通る声で、なんと名前を呼んだ。
エナ
01:27:10
「10分…いや、11分ね」竈の温度からそう判断して、使った道具を洗おうとして――
01:27:19
「!? なっ」
シア
01:27:59
「慣れてるのね。淀みがないわ、手付きに」
エナ
01:30:11
「なっ、な……っ」驚きと混乱からまだ復帰しきっていない。利発で弁も立つ少女ではあるが突発的な事態に対する気構えが足りていない
シア
01:30:56
「どうしたの」 無表情のまま、小さく首を傾げた。
エナ
01:32:11
「なん、で…こんな、」処なのか、時間なのか、自分でも問い質したい内容は分かっていないのかもしれない
シア
01:33:23
「……ああ、名前? 聞いたの、さっき」 狼狽えるエナのようすを見て、何が疑問なのだろうと勝手に推察して、的はずれな回答を返した。
エナ
01:35:47
「ち、違う、そうじゃなくて!」 相手の的外れな返答がここは功を奏した。意味が分からないまでも一先ずまとまりのある言葉を口にすることが出来た。それで僅かばかりの余裕を取り戻した。
シア
01:36:34
「そうね。そうじゃないわよね」
01:36:53
「怯えてるもの」 なんで名前を覚えているのか、なんて質問じゃない事は分かりきっている。
エナ
01:39:11
「お、怯えてなんか……っ」ムキになって言い返そうにも、まずこうして菓子作りなんてしているのが、先日魔域で心乱された事へのケアなのだ。
シア
01:40:03
「そんなに怖い? 私のこと」
エナ
01:41:46
「……あんたは得体が知れないわ。素性もそうだけれど、実力もよ」
シア
01:42:40
「実力も?」
エナ
01:44:54
「私の目利きだとあんたは長剣クラス、よくても大剣程度の腕……そう、見えるわ」
シア
01:46:34
「長剣、大剣……」 説明を受けたことを思い出す。どのくらいの実力だったか。 「そうなんじゃないかしら、そう見えるなら」
エナ
01:48:10
「そう見せてるんじゃないの」
シア
01:48:45
「何のために?」
エナ
01:49:50
「……分からないわ。でも、下に見せておけば油断が誘える。軽んじられる事が有利に働く事だってあるわ」
シア
01:51:33
「……そう」 カウンターに手をついて、かろやかに飛び越えて厨房に侵入した。そのままゆっくりとエナへと近付いていって。 「命は、大切に。……言ったわ、前にも」
01:52:54
「知らなくていいこと、気づかなくていいこと。あるわ、沢山。知ってしまったら、死んでしまうかもしれない」 そっとエナへと手を伸ばす。
エナ
01:54:25
「!? こ、来ないで、何をする気…っ」 発動体のコインは懐にある。だがエプロンのせいですぐには取り出せない。ここで魔法を使うには異貌(あの姿)を晒すことになる。それは出来ない
シア
01:56:48
「……可愛いのね」 そんな反応を見て、無表情のまま呟いた。そのまま手がエナの頬に触れる――と思いきや、す、とその指は別の場所を指して。 「気付くべきこともあるわ。ダメよ、食べ物も大切にしないと」 指先が向いていたのは、生地が入れられて随分と時間が経ってしまった竈だ。
エナ
02:00:13
「あ、あぁ……」あの冷たい指先が迫ってくる。身を竦ませていたが、すっと方向転換した先に目を向ければ――否、既に嗅覚でも感じられる。先ほどから漂っていた香ばしく甘い香りは、今や焦げの――
02:00:24
「ああああぁ!」
シア
02:01:05
「……殺しちゃったのね、その食材()たち」
02:01:10
「可哀想」
エナ
02:03:28
慌てて火掻き棒で端が焼け始めた油紙ごと手繰り寄せる。8枚中無事だったのは
1D8 → 3 + 【-2】 = 1
02:04:48
「そ、そんな事ないわ。1枚は無事よ!あんたが邪魔をするから…っ」
シア
02:05:15
「……死んだわ、7枚は」
エナ
02:05:37
残りの七枚の中で食べられなくもないのは
1D7 → 4 + 【-2】 = 2
02:06:30
「こっちの2枚だって……少し削れば、まだ食べられるわ」
シア
02:06:30
「……私のせい。なら、殴る? 蹴る? 殺す?」
エナ
02:07:26
「なんで私が暴力なんかに訴えないといけないのよ、馬鹿馬鹿しい」
シア
02:08:10
「……そう、何もしないのね」
エナ
02:09:15
「貸し一つよ……代わりに、ここで見た事を忘れて。それでチャラ。どう?」
シア
02:09:22
「……」 完全に焦げた一枚を勝手に摘んで、少し齧った。
エナ
02:10:15
「ちょっ、勝手に何を! って、なんでよりにもよってソレなのよ!バカなの!?」
シア
02:10:41
「?」 閉じた口を動かしたまま小首を傾げてエナを見上げて、少しして呑み込んだ。 「どうして、貸しなの」
エナ
02:10:45
「食べるならこれにしなさい!」焦げた一枚をひったくって、無事な一枚を押し付けた。
シア
02:10:57
「困らないわ、私。私のせいにされても」
02:11:02
「あ」
02:11:48
「……」 強引に入れ替えられた手元の一枚を変化のない表情で見つめる。
エナ
02:11:48
「あんたが話しかけてきたりするから焦げたからに決まってるでしょ」
02:12:15
「な、何よ……」
シア
02:12:48
「勿体無いわ。捨てるんでしょう、それ」
エナ
02:14:24
「ただ捨てる訳ないでしょ」
シア
02:14:42
「使うの? 何に?」
エナ
02:16:28
「表面を削って炭を落としたら砕いてクッキーの具にでもするわよ」
シア
02:17:06
「……そう、偉いのね」
02:17:50
「いいわ」 唯一無事だった一枚を齧って、咀嚼する。
エナ
02:18:07
「皮肉のつもり? ふん」
シア
02:18:20
「褒めてるわ、本気で」
02:18:33
「だから、応じてあげる。さっきの取引」
エナ
02:18:48
「は?」
シア
02:19:58
「言ったでしょ、忘れろって」
02:20:42
「忘れてあげるわ。貴方の失敗」
エナ
02:20:49
「あ、あぁ…」自分で言ったのに忘れていたなんて失態だ
02:21:48
「ええ、ええ、そうよ、私の失敗よ。余計な事に気を取られた私が悪かったわ」
シア
02:22:43
「余計な事……」
エナ
02:24:54
「だ、だって、私は集中する為にこんな事を――……~~っ! あぁ、悪かったわよ、余計は言い過ぎたわ。謝る…」
シア
02:25:59
「……」 生気の薄い瞳で謝罪するエナを見上げて。 「素敵よ、あなたは。臭くないし、可愛らしいし、素直」
02:27:32
「忘れてあげる。色々と」
エナ
02:27:51
「ま、また匂いのことなんて…!な、何のよ、一体」
シア
02:28:19
「それと……あげるわ、これ」 懐の小瓶から花の香りの漂う飴を摘むと、エナの手を取ってその手のひらに乗せた。
02:29:12
飴を渡すと、エナの質問には答えずにカウンターを飛び越えた。
エナ
02:30:02
「なに、これ……飴……? は?」掌に載せられた飴とシアの顔を見比べるようにしていたら、あっという間に向こうに行ってしまった
シア
02:30:36
「飴。いい匂いよ。味も。好きよ、私は」
エナ
02:31:34
「はぁ…」毒気を抜かれたというよりは虚脱感を覚えて肩を落とした
シア
02:32:10
「おやすみなさい。良い夢を」
02:32:42
マイペースに別れの挨拶を告げると、そのまま音もなく店の外へと消えていった。
SYSTEM
02:33:06
 様が退室しました。
エナ
02:33:12
「お、おやすみ、なさい……じゃなくて、何なの…何しに来たのよ、あいつ」
02:35:10
「こんな……」掌の上の飴を見る。ごく普通の飴のようだ。だが、あの女が寄越したものだ。大丈夫なのか、そんな風に感じる。
02:36:39
「……」だが、それはあくまでもそう感じるというだけの事。今しがたのやり取りも客観的に判断すれば自分が勝手に怯え、憶測で相手に嫌疑を向けて、邪魔物扱いにした。それだけだ。
02:38:02
「……」掌の上の飴を見つめる。このままでは溶けだしてべとついてしまうだろう。
02:38:39
「仕方ない、わ」食べ物をそう何度も無駄にするわけにはいかない。覚悟を決めて飴を口に入れた。
02:40:11
「ん…」ふわりと花の香りが漂う。だが、味の方はなんというか垢抜けない。
02:41:51
今日のところは片付けて寝るとしよう。焦げたクッキーの処理(炭削り)を行ってから清掃を行い、部屋へと戻って行った。
SYSTEM
02:41:55
 様が退室しました。
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