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20190402Z_0
- 2019/04/02◥
- SYSTEM◥
- 16:16:33
- 様が入室しました。
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- 16:17:09
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- 16:17:09
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- 16:18:46
- ――王都中央部、その某所に、罪人を収容している牢が存在する。
- 16:19:19
- 王都内で罪を犯したものは勿論、冒険者ギルドより引き渡された者がその牢に繋がれる。
- 16:20:05
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- 16:20:08
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- 16:21:28
- 牢の一角に、目元に火傷の痕跡を持つ女が繋がれていた。
- 16:22:32
- 彼女は、以前に略奪行為を働いた組織の一員であり、また先のある一件――王都内にて大剣級冒険者が襲われた騒動に関与している人物だ。
- 16:23:58
- 牢に入ってからも、その顔には引き攣った笑みが張り付けられており、常人のそれとは異なる様相を呈している。
- 16:24:51
- 聴取も難航している様子で、手を焼いている――という所が現状である。
- 16:25:53
- ただ静かに牢の中に座る彼女は、この日も変わる事はないだろうが――一人、来訪者が訪れる。
- 16:26:08
- 先の騒動に関係している被害者――大剣級冒険者だ。
- 16:26:10
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- 16:29:02
- 囚人が面会室へと案内され、そう時間はかからなかった。扉が開けば、視界に入って来るのは”悪魔”だった。
- 囚人◥
- 16:29:52
- 「――……」 ふと、浮かべていた笑みが消える。無表情のまま、小さく体を震わせながら、無意識の内に自身の身体を抱く様に手を回す。
- シルヴェ◥
- 16:30:35
- 「――ええ、有難うございます」 面会室へと招かれ、諸々の話を終えると職員へと小さく頭を下げる。そして、視界に入った”懐かしい顔”に、やや目を細める。
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- 16:31:31
- 今ならば解る。克明に記憶している。あの火傷痕は、自分が付けたものだ。母を喜ばせる為に、たったそれだけの為に行った事。
- 16:32:05
- それだけには留まらない。その後にあの身体を穢した事も、それを繰り返した事も――
- シルヴェ◥
- 16:33:29
- 「っ、ぷ」 込み上げて来る過去の自身への嫌悪感を覚え、胃から込み上げるそれを何とか抑え込む。
- 囚人◥
- 16:35:06
- 「――……」 恐怖はある。嫌悪感も当然持っている。しかし、それよりも先に、”復讐”が為せたのか。それを確かめなければならなかった、が――口を開いても、言葉は出てこない。
- シルヴェ◥
- 16:39:11
- 「……あまり、時間がないから。伝えたい事があって来たんだ」 からからに乾いた口を開いて、目の前の囚人へと視線を向ける。
- 16:39:33
- 「君達の、”復讐”について」
- 囚人◥
- 16:40:21
- 向けられた視線から逃れる様に、一度逸らして――また、向け直す。その瞳の色は、憤怒、嫌悪、それから恐怖で塗れている。
- シルヴェ◥
- 16:42:40
- 「……全部、思い出したよ。僕が、どういう事をしてきたのか。君達に、何をしたのかも」 表情が歪み、その声は少し小さくなるが、止まらずに言い切る。
- 囚人◥
- 16:44:09
- 黙して、語る事はない。記憶を取り戻したのであれば、目的としては達している事になる。
- 16:47:17
- ただ母に愛される事だけを望み、それ以外の全てを壊した狂人から記憶を奪い、正常な思考を持たせ――その上で、過去の自身の罪を知らしめる。
- 16:48:42
- 自死を許さず、生かし、自身の罪の重さに耐え切れずに潰れさせる事。それが、彼女達の復讐であったのだから。
- シルヴェ◥
- 16:57:12
- 「……本当に、ごめん」 ぐっと頭を下げる。 「謝って、どうにかなるものじゃない事は、解ってる。でも、それでも、……本当に」
- 16:59:37
- 「本当に、申し訳ありませんでした」 深々と頭を下げたまま、絞り出すようにそう続ける。
- 囚人◥
- 17:00:04
- その様子を冷たく見下すと、は、と失笑する。 「……ごめん、申し訳ない、ですって? 笑わせてくれるものね」
- 17:00:58
- 「今更何を言っているの、そんなものを見せられた所で、何かが変わるわけでもないし――まして、貴方を許す者などどこにもいません」
- 17:06:13
- 「自らの行動に責任を持ち、苦しみ続けて、それでも惨めに生きていきなさい。……貴方がどう生きようが、何をしようが――私達の怨みが消える事など有り得ないのですから」
- 17:07:29
- 表情は変わらず無表情のまま、ただ冷たく言い放つ。先程まで様々な色で塗れていた瞳は、今や怨嗟のみによって塗られている。
- シルヴェ◥
- 17:09:11
- 「――……」 言葉と怨嗟とを受け止めながら、下げた頭は上げない。 「うん。だから」
- 17:11:33
- 「だから、君達のその復讐を、僕が死んでそれで終わりには出来ない。これから僕が死ぬまで、ずっと向き合って行かなきゃいけないんだと、思う」
- 囚人◥
- 17:13:49
- 「……」 その表情も瞳も、一切揺らぐことはない。目の前の悪魔の発する言葉など、微塵にも信じる腹積もりはない。
- 17:15:05
- 「何を、都合のいい様に纏めているのです?」
- 17:16:07
- 「向き合う? ――貴方の勝手な判断で結論付けようとしているだけでしょう? 笑わせないでください」 怒りを持って吐き捨てると、鋭く睨み付ける。
- 17:25:15
- 「私達が貴方へと望むことは、ただ生き地獄へと落ちる事のみ。……それ以外に、何もありません」
- シルヴェ◥
- 17:26:02
- 「――……生き地獄、」 と。言葉を重ねようとした所で、職員に声をかけられる。
- 囚人◥
- 17:27:18
- 「ええ、しかし――成ったとするのであれば、これで思い残す事もありません。あの方は遂げてくださり、貴方がこれからも苦しみ続けるというのですから」
- シルヴェ◥
- 17:28:21
- もう少しだけ、と声をかけるも、その許可は出なかった。ゆっくりと離れようとした所に、囚人からまた声がかかる。
- 囚人◥
- 17:28:38
- 「精々苦しんで、苦しんで苦しんで苦しみ抜いて――それでも、無様に生き続けて、潰れてしまえ」
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- 17:28:52
-
- 17:30:17
- もう少し、と再度頼みこむが叶わず、シルヴェストロが職員に連れられ、施設から出れば、そこには曇天が広がっている。
- 17:30:35
- 分厚い黒い雲が広がり、微かに雨の匂いがする。
- シルヴェ◥
- 17:32:02
- 「……」 話をしようと思い至ったのは、彼女―囚人が、じきに一連の騒動の罪により裁かれる為だった。
- 17:32:40
- 「囚人、……罪、か」 裁かれるべきなのは自分である筈が、そうではない、という事に違和感を覚えない訳がない。
- 17:39:50
- オルトラントに行くつもりだ、とクラウディアに提案したのは、せめて墓を、と思っただけではなく――自分の犯した罪の痕跡を見つけたい、という側面もある。
- 17:43:22
- 「……雨、降ってきそうだな」 空を見上げて、ぼんやりと呟く。ふらふらと歩みを進めて、自宅を通り越し、魔域の中でも選んでいた、あの公園へと足を運ぶ。
- 17:43:48
- 一息ついて、ベンチへと座り込む。
- 17:44:20
- 許されると思っていた訳ではない。当然だ、許される訳がない。ただ、それでも一言、告げておきたかった。
- 17:45:56
- それが自己満足にしか過ぎない、ただのエゴだとしても。せずにはいられなかった。
- 17:53:17
- 「……」 やや重い頭痛を覚え、左手で額を抑える。息を一つ、重く吐いて、ぐったりと空を見上げては眉根を顰めて見せる。
- 17:57:52
- 「……」 彼女の視線を想起して、胃から這い上がって来るものを感じながら、それを抑え込む様に額へと回していた手を口元に戻す。
- 17:58:48
- (死ぬまで苦しんで、苦しみ抜いて、か) 言葉を反芻しながら、落ち着く事の無い身体に苦笑する。
- 18:00:21
- (償うには、それだけじゃ足りない。……何をどうしたらいいのかは、まだ、解らないけど)
- 18:01:59
- (向き合って、考え続けて、……そうやって生きていこう。そうするって、決めたんだから)
- 18:03:04
- 治まらない頭痛と胃痛を覚えながら、ぼんやりと雨雲を眺める。
- 18:05:12
- しばらく雨雲を眺め続けていたが、やがてゆっくりと腰を上げると、帰路につき始める。
- ◥
- 18:05:40
- 当然だが、未だに心の整理はついていない。どうすべきかも、解ってもいない。
- 18:07:27
- ただ、自分が成すべき事、成したい事を探し、知る為に。その為に生きようと強く思いながら、彼は歩いて行った。
- SYSTEM◥
- 18:07:33
- 様が退室しました。
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発言統計 |
その他(NPC) | 41回 | 66.1% | 2546文字 | 76.5% |
| 21回 | 33.9% | 784文字 | 23.5% |
合計 | 62回 | 3330文字 |