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20190405Z_0
- 2019/04/05◥
- SYSTEM◥
- 01:29:39
- 様が入室しました。
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- 01:29:49
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- 01:29:50
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- TOPIC◥
- 01:30:02
- イルスファール王都の“どこか” by
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- 01:31:32
- 薄暗い部屋を、ランタンの灯りが照らす。
- 01:32:36
- 部屋に置かれたベッドの上で身動ぎする一つの人影。透き通った白い肌に、手入れの行き届いた長い銀灰色の髪を持つ、まるで人形のような美しさの少女だ。
- 01:33:52
- 彼女は“庭”と呼ばれる犯罪組織の構成員であり、“葉”と呼ばれる暗殺者だ。
- 01:34:39
- 組織の末端に近しい立場の“葉”だが、その中でも様々な方面に目覚ましい適性を見せた彼女は、“花”や“草”としての役割を与えられるまでに至った。
- シア◥
- 01:36:07
- 大きな都市で娼婦として客を取り、“上客”を見つけては巧みに薬漬けにし、情報を引き出し、あるいは自在に操る。
- 01:36:18
- それが、彼女に与えられた“花”としての役割のひとつだった。
- 01:37:23
- 幼い頃から麻薬を与えられ、本来であれば感情を失うはずだったが、彼女の中には未だ強く感情が残っている。
- 01:38:27
- 彼女を買う客は、決して見た目の良いものばかりではないし、中には尋常ではない嗜好を持つ者も多い。
- 01:38:54
- しかし、どんな相手であっても、この仕事を嫌だと思った事は一度もない。
- 01:39:44
- 人が欲望のままに動き、快楽を貪る姿は、とても好ましい。またそこから生じる快楽は、生きている事を実感させてもくれる。
- 01:40:57
- 今日もまた何人かの客の相手をこなし、“情報”を得た後に、そのまま連れ込み宿の一室で休んでいた。
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- 01:41:26
- とはいっても、単に疲れていたから休んでいたというわけではない。
- シア◥
- 01:42:46
- 「……」 目覚め、視線を室内へと巡らせれば、ベッドの傍に見知った顔があることに気付く。 「……もう来てたの」
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- 01:44:14
- 彼女の視線の先にいたのは、常日頃から眠たげな表情を浮かべているシアとは対照的な、金色の髪の派手な印象の女性だ。
- 女◥
- 01:45:09
- 「ええ。可愛い花をあまり待たせるのは忍びないから」
- 01:45:58
- 「それに、あなたはあまり辛抱強い方じゃないしね」 異質な雰囲気の少女にも物怖じすることなく、にっこりと微笑みを浮かべて返す。
- シア◥
- 01:46:31
- 「……我慢してるわ、たくさん。あなたに付き合って」
- 01:47:28
- 身を起こし、ベッドの上に置いてあった小瓶から飴をひとつ取り出し、口へと放り込む。
- 女◥
- 01:49:30
- 「あら、そうだったの? いつも結構楽しんでる風だったから、我慢はそんなにさせてないと思ってたのに」 言いながら少女の隣に座ると、華柄の櫛を取り出し、彼女の長い髪を丁寧に梳かし始める。
- シア◥
- 01:50:17
- 「愉しんではいるわ。この仕事も、庭の掃除も、鎌の手伝いも」
- 女◥
- 01:51:13
- 「そう、良かった。あなたは私の花の中でも特別出来がいい方だから、出来る限り大事にしてあげたいの」
- 01:52:03
- 「本当はあのくたびれたお爺さんから貰った薬なんて、口にしてほしくはないんだけど。ま、あの婆よりはマシだってことでそこは許してあげましょう」
- シア◥
- 01:52:43
- 「……だったら、ちゃんと作って。丁度いい薬」
- 01:53:14
- 「あなたの薬、好きだけれど。効きすぎるわ、少し」
- 女◥
- 01:55:13
- 「そういうのがいいっていうから一所懸命改良していってあげたのよ」
- シア◥
- 01:56:50
- 「あの子たちにあげた薬も、気にはなっているんだけど」
- 女◥
- 01:57:57
- 「あの子たち? ああ、教団に貸してあげた子とか、新しい品種の種として使ってあげた子?」
- シア◥
- 01:58:26
- 「そう。愉しそう」
- 女◥
- 01:59:28
- 「あれはあなたにはまだあげられないわ。試作品でしかないし、最悪あなたのその綺麗な姿が台無しになっちゃう」
- 02:00:05
- 「後者は、どっちかっていうと〈奈落の剣〉の実験的な意味合いの方が強かったし」
- シア◥
- 02:00:58
- 「〈奈落の剣〉……。あのお婆さんも、持ってたみたいね。手引きしたの?」
- 女◥
- 02:01:21
- 「やーね。私は何もしてないわよ。少なくとも、直接はね」
- シア◥
- 02:02:26
- 「してたとしても言わないわ、何も」
- 女◥
- 02:03:35
- 「まあ、ほら。教団には私もいろいろ借りてるし? こっちもそれなりに対価を渡さなきゃいけないわけ」
- 02:03:55
- 「ほんの少し。どうでもいい情報をあげただけよ」
- シア◥
- 02:04:31
- 「そう」 興味無さそうに返してから立ち上がる。
- 女◥
- 02:04:45
- 「あ、ちょっと。まだ途中」
- シア◥
- 02:06:17
- 「多分、ルスルリアンの庭は焼けるわ。やり遂げるでしょう、あの落ち葉たちが」
- 02:06:44
- 「どれだけ犠牲が出るかは知らないけれど。きっとね」
- 02:07:21
- 「ついでに、鎌から私にも仕事が来るでしょう。後始末」
- 女◥
- 02:08:16
- 「そうねぇ。あそこ、一見何でも無いように見えて中はどろどろの爺婆戦争だし」
- シア◥
- 02:09:37
- 「表立って活動しているのは、今はあのお婆さんくらい。面白くなくなるわ、彼女が死んだら」
- 02:10:37
- 「――だから、早く準備を整えてね」
- 02:11:57
- 「愉しみにしているわ、あなたが目指す混沌のこと」 女の方を向き直り、年相応――年齢は分からないが――の微笑みを見せた。
- 女◥
- 02:12:57
- 「ふふ、あなたにそんな顔をされたら気合が入っちゃうわね」
- 02:13:35
- 「大丈夫。計画は順調よ。まだしばらく、彼らに泳いでもらう必要があるけれど」
- 02:14:16
- 「その途中も、あなたのことは愉しませてあげる。安心して、私の可愛いお花さん」
- シア◥
- 02:15:42
- 「……」 こくりと満足げに頷いて。 「それじゃあ。その為にももう少し仕事をしておかないとね」
- 02:17:16
- 「行ってくるわ――ルル」 最後に女の名を呼ぶと、ひとつ瞬きを挟む間にその姿を消した。
- 女◥
- 02:18:55
- 「私の名前を覚えていられるのなら、ちゃんと冒険者仲間の名前も覚えてあげたらいいのに」 苦笑を浮かべてその姿を見送り、ベッドの端に座ったまま、足をぷらぷらさせる。
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- 02:20:27
- 彼女は“庭”と呼ばれる犯罪組織の幹部――その立場にある者たちは“根”と呼ばれる。
- 02:22:12
- 拉致誘拐、麻薬の製造販売に薬物による洗脳、脅迫、人身売買まで手広く手がける“庭”の中でも、彼女は“花”と呼ばれる商品を作り、あるいは育て、出荷する事を主な役目としている。
- 02:22:53
- 彼女の育てた花々は組織の目となり、鼻となり、耳となり、ありとあらゆる情報を彼女の元へと運んでくる。
- 02:24:15
- 彼女の名は、“華”。誰もが羨むような綺羅びやかな美しさの中に、狂気という棘を持つ“根”の一人。そして――
- 02:24:18
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- 02:24:19
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- SYSTEM◥
- 02:24:21
- 様が退室しました。
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発言統計 |
その他(NPC) | 44回 | 75.9% | 1840文字 | 76.5% |
| 14回 | 24.1% | 564文字 | 23.5% |
合計 | 58回 | 2404文字 |