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20190508X_0
- 2019/05/08◥
- SYSTEM◥
- 01:03:40
- 様が入室しました。
- SYSTEM◥
- 01:04:41
- 様が入室しました。
- TOPIC◥
- 01:05:29
- リアン島に発生した魔域内 by
- ◥
- 01:06:40
- ーヤグル・マギテク スズカ家 邸内──
- 01:09:09
- イルスファールとは様相を異にする文化を感じさせるこの屋敷には見事な庭園がある
- 01:10:08
- そこには朽ちる事無く咲き続ける一本の桜の姿が――
- 01:11:53
- その桜は、かつて巨神と呼ばれる災厄を退け、今もその呪いを封じ、浄化する役割を担っているのだという。
- 01:13:55
- 今宵も変わらずその艶やかな姿で在り続ける……。
- 01:13:57
-
- ミカサ◥
- 01:16:54
- 庭園を一望できる個室の縁側で一人の娘が佇んでいる。
- 01:17:42
- 額から二本の青白い角を伸ばした鬼の娘は飽くことなく、朽ちぬ桜を眺めている。
- ◥
- 01:19:04
- 月明かりに照らされて輝く美しい桜の咲く庭園に、静かな足音が木霊した。
- ミカサ◥
- 01:19:20
- リアン等に発生した魔域の調査と破壊という使命を帯びてやって来たというのに、何の因果か、こうして故郷を思わせる造りの邸宅で観桜の機会を得た。
- ユレン◥
- 01:20:51
- 現れたのは一人の青年。庭園を眺めている娘とは別の部屋から、廊下を通って庭に出ると、桜の樹の下まで、それを見上げながらゆっくりと歩いていく。
- ミカサ◥
- 01:22:06
- 「ああ……」月明かりに照らされた桜が夜風に吹かれてたなびく。だが、花びらのひとひらも舞い散る事は無かった。自分の吐いた吐息が感嘆なのか悲嘆なのか、わからない。
- ユレン◥
- 01:22:06
- 夜も更け、仲間たちの大半も寝静まっているだろう頃を見計らい、同室の相手に断りを入れ、夜桜を眺めに来たのだ。
- 01:24:19
- 白とも、桃とも、どちらとも取れるその輝きは、漆黒の中でよく映える。日中や夕刻に見たそれも見事なものだったが、まったく違う趣に、思わず感嘆の吐息が漏れた。
- ミカサ◥
- 01:25:28
- 「あら…」一幅の絵画のような光景に魅入られていたところ、人物という事なる要素が混ざり込んできた。それでハッと現実に立ち返る。
- ユレン◥
- 01:25:57
- 「……確かに、夜桜も良いと言っていたのがよく分かるな」 物の美醜には疎い方だが、これが人の心を動かすだけの魅力を持つというのは、理解できる。
- 01:27:09
- 「――……」 桜の花に向けて軽く手を伸ばしてみるが当然届かず、散ってさえ来ないそれに一人苦笑して、手を下ろした。
- ミカサ◥
- 01:27:23
- 思いのほか身体が冷えていた事を気付かされ、襦袢の上から羽織りを身に着けると縁側に用意されていた雪駄を履いて庭へと歩き出した。
- ユレン◥
- 01:29:14
- 「桜は散るからこそ美しい、か。……どうにも難しいな」 独り言つと、少し離れてそれを眺めようかと振り返った所で、人の気配を感じた。
- ミカサ◥
- 01:31:42
- 「桜を愛でておられるところ、邪魔立てして申し訳ございません」 いつもの具足姿ではなく、ローブのような物を身に着け、ケープを羽織っている。どちらも異文化を思わせる造りだ。それがこの娘にはしっくりとあてはまる
- ユレン◥
- 01:32:59
- 「……まだ起きてたのか?」 現れた娘に少し驚いたような表情を見せてから、彼女の姿をはっきりと認めて、さらに目を丸くした。 「……一瞬誰かと思ったよ。随分雰囲気が変わるんだな」
- 01:34:27
- 自分の方が普通の格好をしているはずなのに、この景色には、異常なくらい彼女の装いがしっくり来る。何度か、桜の木と邸宅、そしてミカサの姿を順に見て、軽く後頭部を掻いた。
- ミカサ◥
- 01:34:30
- 「夜桜に引き寄せられてしまいました。この花には鬼を…いえ、人を惹き付ける魔力があるのでしょうか」
- ユレン◥
- 01:35:55
- 「僕でも、はっきりと美しいと思うくらいだからな。それだけの魅力を備えているのは確かだろ」
- ミカサ◥
- 01:38:05
- 「まぁ、わたくしったら…このような出で立ちで殿御とふたりだなんて……あまり見ないでくださいまし、お恥ずかしい…」羽織を僅かに掻き合わせつつ、身を捩る。
- ユレン◥
- 01:39:57
- 「……? よく似合っているし、恥ずかしがる事はないと思うんだが……」 そんな様子に対して腕を組み、やや不思議そうな顔を浮かべた。
- ミカサ◥
- 01:41:30
- 「人にお見せするような装いではございませぬ…」
- 01:43:19
- 「それにしても、少しばかり残念にございます……これほどの桜、散り行く様もさぞや美しい事でしょうに」
- ユレン◥
- 01:43:29
- 「そうなのか? 部屋着にしては、随分洒落ているように見える」 見慣れない、物珍しい衣服というのは、それだけで少し洒落たものに見えるのだ。 「この桜と庭の雰囲気にもよく合っているしな」
- 01:43:48
- 「昼間も言ってたな。桜は散る様子も美しい、って」
- ミカサ◥
- 01:44:21
- 「ム、ムム…」話題を強引に変えようと夜桜を見上げ
- 01:46:57
- 「そ、そうです。お役目とはいえ、桜とは本来散るもの…その花が咲き誇るのは一年という月日の中のほんの僅かな合間のこと…」
- ユレン◥
- 01:48:31
- 「……」 ミカサの様子に、言葉を間違えたかと内心で少し反省しつつ。 「たったそれだけの期間しか咲かないから、より美しさも映える、か?」
- ミカサ◥
- 01:48:34
- 「絶えず咲き続ける様は美しくございますが……わたくし達は散り逝く花に刹那の美を見出します」
- ユレン◥
- 01:48:47
- 「達?」
- ミカサ◥
- 01:50:35
- 「故郷の者達にございます……こうして、庭園で桜を愛でる機会が来ようとは思ってもみませんでしたが…」
- ユレン◥
- 01:52:50
- 「そうか。ミカサの故郷の方では、そうして桜を楽しむ風習があるんだな」 言って、視線を桜の花びらへ。 「散ってしまうと、少し寂しい気もするが……そういう感覚も、趣深い、のか?」
- ミカサ◥
- 01:54:02
- 「花は咲き、やがて萎みましょう。夏の青葉も秋の紅葉も枯れ落ちるが定め。冬に舞い積る雪もいずれは溶けて春の恵みへと繋がって参ります」
- ユレン◥
- 01:56:43
- 「……散るのも枯れるのも、すべて次に繋がっていく、か。……難しいな。美しいものなら、そのままの姿でずっと在っても、悪くないことだとも思うんだが」
- ミカサ◥
- 01:57:00
- 「わたくし達、夜叉は久しき身を授かっておりまするが、なればこそ、そうした移ろいに想いを馳せるのです」
- ユレン◥
- 01:57:52
- 「夜叉というと、ナイトメアのことだったか。……別に僕らも、変わらないわけじゃないだろ?」
- ミカサ◥
- 02:00:22
- 「ええ、見目はそう変わりませぬが、心身を鍛える事は出来ます」
- ユレン◥
- 02:02:58
- 「だったら、季節の移り変わりに憧れる……というよりは、羨ましがる、か。そんなことをしなくても良さそうなものだけど」
- 02:04:25
- 「それに、見た目は変わらないといっても、鎧姿のミカサと今のミカサは、随分姿も雰囲気も変わってると思うけどな」
- ミカサ◥
- 02:04:28
- 「戒めにございます。徒に時を浪費するのではなく、己を高める事を尊びます故に」
- ユレン◥
- 02:05:03
- 「戒め……ね。真面目な人ばかりなんだな、ミカサの故郷の人たちは」
- ミカサ◥
- 02:05:39
- 「な、何を仰いますか…お戯れはおやめになってくださいまし」
- ユレン◥
- 02:06:22
- 「? いや、冗談じゃなく素直に感想を口にしただけなんだが……」
- ミカサ◥
- 02:09:07
- 「夜叉とは、畏れ多くも鬼神様より御印と久しき身を授かりし者にございますれば……永き時の果てに為すべき使命に向けて己を鍛えるのです」
- 02:10:18
- 「ミカサを試しておられるのですね…? 些末な事に心を揺れ動かす未熟者なのではと」
- ユレン◥
- 02:11:02
- 「……そんなに長い時間を掛けて鍛えてまで果たさなきゃいけない使命があるのか?」
- 02:11:45
- 「試すって、何を。……そんな意地の悪いことをしても、僕にも君にも得がないだろ」
- ミカサ◥
- 02:15:05
- 「実のところ、使命が何なのか、真に在るのかを知る者はおりませぬ。大事を成し遂げ没した者が使命を果たしたと称される事はありますが、それが真であるか否であるか、知る由もございません」
- ユレン◥
- 02:17:26
- 「具体的な何かじゃなくて、何か大業を成し遂げられるように心身を鍛え続けるといった感じか。まあ、事実はどうであれ、それ自体は良い事だろうな。無駄に時間を浪費してしまうよりは、ずっといいとは僕も思う」
- ミカサ◥
- 02:19:01
- 「いつ何時、己の使命と相対する事になるかは分かりませぬ、だからこそ、その日その時、悔いが残らぬように己を鍛えるのです」
- ユレン◥
- 02:21:26
- 「悔い――か」 言葉の一部を復唱して、月を見上げた。 「使命じゃあないが、いつ何が起こるかは分からないからな。悔いを残しながら死ぬのは、確かに馬鹿らしい」
- ミカサ◥
- 02:21:38
- 「わたくしは”りあん”の地にて一度敗れ、命を落としました。己の無力を嘆き、恥じ、悔い続けました」
- ユレン◥
- 02:21:55
- 「……何だって?」
- ミカサ◥
- 02:25:32
- 「"夜叉姫"は穢れ多き者、守りの結界より拒まれる者などと噂されてはおりませぬか…?」
- ユレン◥
- 02:26:48
- 「……ああ、小耳に挟んだ事はあった。……そうか、あれはミカサのことか」
- 02:27:13
- 「……君もだなんて、あまり嬉しくない偶然だな」
- ミカサ◥
- 02:27:43
- 「わたくしも…?」
- ユレン◥
- 02:28:53
- 「ああ。僕も蘇生者だ」
- 02:30:07
- 「小さい頃から、住んでいた村で迫害を受けててな。一度、彼らに殺された」
- 02:31:06
- 「偶然――なのかどうかは知らないが、あるドレイクに気に入られたみたいで、彼女の手で蘇生されたんだ」
- ミカサ◥
- 02:31:07
- 「まぁ…! なんと…何という事でしょう……それは、夜叉…ないとめあである事が由縁にございますか…?」
- 02:32:10
- 「ああ、この地の龍人にも心ある者が居たのですね」
- ユレン◥
- 02:32:15
- 「ああ。生まれつき穢れを持っていたから。イルスファールじゃ、そういう差別は少ない方だと聞いて、少し驚いたよ」
- 02:32:52
- 「……さあ、どうかな。僕にとっては救い主だったが、人族の味方かと言うと、首を傾げる所だ」
- 02:34:06
- 「……ともかく、その時の蘇生で、瞳がこうなってね」 指で、自分の瞳の縁の金の輪郭を示した。
- ミカサ◥
- 02:34:14
- 「……」今では自分にとっての常識が、この地では非常識極まりない事を心得ている。時々忘れそうになる事もあるが
- 02:35:05
- 「そう、でしたか…その金輪の御印も生まれついてのものでは……」
- ユレン◥
- 02:35:39
- 「そう。……だから、君の言うようにあまり目出度いものじゃあないんだ」
- 02:36:16
- 「大事な使命を帯びているわけでも、大きな力を持っているわけでもない」
- 02:37:46
- 「ただ、何も知らないままに、何も出来ないままに死ぬのは悔しかった。だから今も、こうして生きているだけだ」
- ミカサ◥
- 02:38:15
- 「数々のご無礼、お許しくださいまし。物狂いの娘と思われた事でしょう。」腰を折り、深々と頭を下げる。長く艶やかな黒髪が流れ、うなじが露わになる。
- ユレン◥
- 02:39:07
- 「……頭を上げてくれ。ミカサの言葉で気を悪くしたことなんてないんだ」
- 02:39:42
- 「むしろ、同族に会えたことや、思っていた以上に受け入れられたことには安堵したくらいだ」
- ミカサ◥
- 02:41:56
- 「ですが…わたくしは知らぬとはいえ、同胞の立場を危ぶませるような事ばかりを……クシュン」
- ユレン◥
- 02:42:36
- 「知らないなら、仕方ないだろ。改善する気もあるんだし――おっと」
- 02:43:02
- 「流石にその格好だと冷えるか。……そろそろ部屋に戻るか?」
- ミカサ◥
- 02:43:20
- 「し、失礼いたしました、ああ、わたくしったら…」
- 02:43:55
- 「へ、部屋にでございますか…!?」
- ユレン◥
- 02:45:23
- 「部屋以外に戻るところはないだろ……?」
- ミカサ◥
- 02:49:02
- 「その、あの……お、お渡りに、なられる、という…事では……」
- ユレン◥
- 02:50:59
- 「渡り……?」 聞き慣れない単語に腕を組んで悩む表情を見せた。 「……ああ、送るという意味か? 部屋までは送るよ」
- ミカサ◥
- 02:53:24
- 「送る…ああ、ああぁ……」自らの飛躍した勘違いに気付いて白い肌を真っ赤に染め 「も、問題ございませぬ、すぐ其処にございますれば、ど、どうぞ、わたくしの如き端女の事はお、お忘れを」
- ユレン◥
- 02:54:29
- 「……流石にそういうわけにもいかないだろ。此処で部屋に送るくらいしないと失礼に当たるのは、流石に僕でも分かる」
- 02:55:06
- 「ほら、顔まで赤くなってきてる。熱が出てきたら明日に響くぞ」 ぽん、とミカサの背中を叩いた。
- 02:55:26
- 熱でも、だ。
- ミカサ◥
- 02:56:05
- 「ひゃぁぅ」およそ聞いたこともない声を出した
- ユレン◥
- 02:57:01
- 「ああ……悪い。いきなり背中なんて叩いたら驚くよな」 上ずった声を聞いて、慌てて手を引いた。
- ミカサ◥
- 02:58:13
- 「い、いけません、いけません、夫婦でもない男女が、よ、夜桜の下で触れ合うなど、あああ」
- ユレン◥
- 02:59:34
- 「そ、そうなのか。……厳しいんだな、夜桜っていうのは……」 僕には難しすぎて理解できない世界だ。 「……とりあえず、部屋に戻ろう。もういい時間だ。そろそろ寝ないと、明日が辛いだろ」
- ミカサ◥
- 02:59:51
- 「わ、わたくしは一足先に戻らせていただきまする、ユレン様はどうぞ桜を御覧なっていてくださいまし、それでは…
- 02:59:56
- 」
- ユレン◥
- 03:00:30
- 「……あ、ああ。君がそう言うならそうするが……」
- ミカサ◥
- 03:01:11
- 飛び石の上を足早に、といっても姿勢を崩さず裾が乱れないように気を付けながら用意し荒れた部屋へと向かうのです。
- ユレン◥
- 03:02:04
- 「…………ふう」 その背中を見送って、ひとつため息をついた。
- ミカサ◥
- 03:02:07
- 用意された!
- 03:03:43
- わたくしはその夜、なかなか寝付けず図らずも夜更かしをする事となってしまいました。
- 03:03:55
- 桜の魔力に相違ありません。
- ユレン◥
- 03:04:10
- 「変なことを言ってしまったか、な。……異性への対応は、今度誰かに聞いた方がいいかもな」 これは今後また失礼なことをしてしまいそうだ。
- 03:04:21
- 「……まあ、僕も寝るか」
- 03:04:55
- もう一度夜桜を見上げて少し鑑賞した後、シィアの居る大部屋に戻り、何事もなかったように普通に眠った。
- ◥
- 03:06:21
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- 03:06:25
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- 03:06:44
- お、お付き合いいただきありがとうございました
- ◥
- 03:06:52
- お付き合いありがとうございました。
- 03:06:57
- 良い夢を。
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- 03:07:03
- お付き合いだなんて…まぁ!まぁ…!
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- 03:07:09
- えぇ……
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- 03:07:37
- 善き夢が貴方と共に在りますように
- SYSTEM◥
- 03:07:45
- 様が退室しました。
- ◥
- 03:07:47
- おやすみ。
- SYSTEM◥
- 03:07:49
- 様が退室しました。
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発言統計 |
その他(NPC) | 98回 | 86.0% | 4789文字 | 94.1% |
| 16回 | 14.0% | 302文字 | 5.9% |
合計 | 114回 | 5091文字 |