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20190607Y_0
- 2019/06/07◥
- SYSTEM◥
- 00:58:39
- 様が入室しました。
- TOPIC◥
- 00:58:49
- 魔術師ギルド“夢幻の塔” by
- ◥
- 01:01:42
- ここは王都イルスファールの魔術師ギルド、通称“夢幻の塔”
- 01:04:42
- 正確には魔術師ギルドのイルスファール支部であるこの塔は、基本的に閉鎖的な人間の多い魔術師ギルドの中では開放的な部類に入る。
- 01:09:49
- というのも、この支部を設立したギルドの構成員は、自ら進んでこの新たな国の発展に貢献する為、この地に留まった者達なのだ。
- 01:10:21
- 勿論、そこには理想だけではない打算も含まれていただろうが、その理念は今も受け継がれている。
- 01:12:06
- 施設の一部は図書館として公開されているし、いくばくかの対価を支払えば魔術に関する講義を受けることも出来る。
- 01:14:23
- 今日も、講堂の一部で初級魔術の講座が開かれていた。
- 01:15:43
- 題目は操霊魔法。系統としては死霊魔術を内包する為、偏見の多い魔術だ。
- 01:17:32
- 一方で、その初級――おおよそ、第二、第三階梯あたりまでを示す――には、有益な魔術が数多くあり、特に冒険者には人気が高い。
- 01:17:37
-
- 講師◥
- 01:19:38
- 「――であるからして、操霊術における付与、精神系統の運用には魔法拡大が極めて効果的であり…」
- エナ◥
- 01:21:07
- 「……」亜麻色の髪の少女は退屈気に講義を聞き流している。自分から受講しておいてなんだが、ほとんど受けた意味を感じなかった。
- 01:23:27
- 元々、源流を同じくする真語魔術と操霊術だ。基礎が同じであれば応用も発展も多少時間をかければ習得は容易だ。
- 01:26:51
- 自分に限って言えば、範囲術式の制御の手を抜くか、攻性魔術の精度を若干落とすかすれば、その分を単体術式の拡大に集中することが出来るだろう。
- 01:28:21
- 元々、詠唱は覚えている。第一、第二階梯あたりは試せばすぐに使えるようになるだろう。
- 01:29:46
- 問題は片手間で使える程度の魔術で、本当に物の役に立てるのか、という疑念だ。
- 01:30:55
- 今まで自分が培ってきた真語魔術に見切りをつけて……悪く言えば諦めて、道を転向するというのは、まるで……
- 01:32:48
- 「……」 物思いに耽っている間に講義はいつの間にか終了していた。講師の目に少しばかりの非難めいた色が浮かんでいたように見えたのは気のせいだと思いたい。
- 01:33:40
- 終わり際に出された理解度を測る小テストはきちんと埋めておいたのだから、勘弁して欲しい。
- ◥
- 01:33:52
-
- 01:33:53
-
- エナ◥
- 01:35:04
- 「はぁ…」 魔術師ギルドの敷地から出て、工房街へと繋がる橋の上で川面を見ながらため息を吐く。
- SYSTEM◥
- 01:35:26
- 様が入室しました。
- スゥ◥
- 01:36:51
- 「タメ息つくと、幸せが逃げるっていうノ」 たまたま通りかかったのだろう。いつの間にか、エナの後ろに少女がいて、そんな声をかけてきた。
- 01:38:48
- 「それとも、オサカナでもいる?」 買い物してきた品々が入った布袋を抱え、彼女へ近づいて
- エナ◥
- 01:40:24
- 「な、なんだ……あんた、だったの」声をかけられてもしばらく気付かずにいた。珍しい事だ。慌てて顔を上げ、見知った顔だと気付き、僅かに固まり、
- SYSTEM◥
- 01:40:34
- 様が入室しました。
- スゥ◥
- 01:42:11
- 「……?」 その様子に、少女はきょとんとする。まばたきにあわせて、長い睫毛が揺れるのが見えた。
- エナ◥
- 01:42:24
- 「魚…? まあ、そうね…いるかも…」 視線を川面に向ける。少しばかりの罪悪感と気まずさ、たぶんこちらが一方的に抱いているものだ。
- スゥ◥
- 01:43:04
- 「どしたノ。エナ、元気ない」
- 01:43:31
- 「風邪?」 すぐそばまでくると、手を伸ばしてエナの額に触れる。 「ンー…… 熱は、ない? みたいだケド」
- エナ◥
- 01:44:27
- 「や、やめてってば…」 思わず手を振り払ってしまった 「あ」
- スゥ◥
- 01:44:54
- ぱし、と、思わぬ大きな音が出て。
- 01:45:33
- スゥは驚いた表情をした。「……ごめん」
- エナ◥
- 01:46:20
- 「ご、ごめんなさい。 ちょっと、びっくりして……ごめん」
- スゥ◥
- 01:48:05
- 「――……」 何ともいえない表情をして、エナの顔を見つめて
- 01:48:43
- 「……エナ、何か様子が、変」
- エナ◥
- 01:48:55
- 「ちょ、ちょっとね、そこで講義を受けてきて、難しい内容だったから…考え事をしてたのよ」
- スゥ◥
- 01:50:40
- 「………」 曇りのない赤い瞳が、エナを映している。
- エナ◥
- 01:50:41
- 「ほら、私、この前の仕事では全然役に立たなかったじゃない? レナの兄さんと比べると、まだまだだし、それに」 聞かれてもいないのに言い訳を始める
- 01:52:55
- 「元々、冒険者稼業は腰かけみたいなものだったし……身の振り方って奴を考えた方がいいのかな、とか……」
- スゥ◥
- 01:53:00
- そう、この前の仕事。エナの口から零れる、言い訳じみた言葉を遮るように、ぽつりと、「エナ、この間から少し様子がヘンだった」
- エナ◥
- 01:54:07
- 「それは、あの”庭”とかいう連中のやり口があんまり酷いから……」
- スゥ◥
- 01:55:11
- 「ううん」 大きくかぶりを振る。さらさらの銀髪が、横に広がった。
- 01:55:46
- いままでと、自分を見る目が違うように思うのだ。怯え? 怒り? 分からないけれど――
- 01:56:01
- 「エナは、スゥの事がきらいになった?」
- 01:56:25
- 隠すことも取り繕うこともなく、そのまま生の疑問をぶつけた。
- エナ◥
- 01:56:28
- 「……」 嘘ではない言い訳を否定された。そう、怯えていたのも事実、だがそれだけではないのもまた…
- 01:58:42
- 「……あんたが悪いわけじゃないわ」赤い瞳を直視出来ず、目を逸らし
- スゥ◥
- 01:59:48
- 「……」 否定は、されなかった。僅かに怯んで、半歩だけ下がる。
- 02:00:15
- 「何か、何か、エナの気に入らないコトをした……? ――エナを、怒らせるようなコトをした? それとも、ボクみたいな子はきらいだった?」
- エナ◥
- 02:03:05
- 「違う…そういうんじゃないの。本当よ、あんたの事、可愛いって思うし、でも、だから……」」
- スゥ◥
- 02:04:11
- 「――……」 言っていることが分からない。
- エナ◥
- 02:06:45
- 「……私は、あんたみたいに隣にはいられないから……あんたみたいに踊れない、素直でもない…」
- スゥ◥
- 02:08:21
- 「――隣…… だれの隣?」
- 02:08:58
- 「フューリアス? それとも、シン?」
- エナ◥
- 02:09:08
- 「――……」
- スゥ◥
- 02:11:18
- それ以上重ねて問い詰めることなく、ただエナの目をじっと見上げている。
- エナ◥
- 02:11:38
- 何度も口を開きかけて、口を噤む。こたえは分かっているのに。言い出せない。胸が痛い。
- スゥ◥
- 02:12:58
- 「――どうしても言いたくないなら、無理には聞かなイ」
- エナ◥
- 02:13:12
- 抜け駆けのような真似をして、食事に誘って、それでも楽しかった。その後で大きく落ち込んだのだけれども
- 02:14:39
- 「……あいつよ」 か細い声でそう言った。名前を呼ばない卑怯な言い方だ。
- スゥ◥
- 02:15:43
- 「………」 その声を聞いて、なぜか少女は微笑んだ。花のような微笑みだ。
- 02:16:15
- 「ダイジョブ。スゥはふたりとも、エナから取ったりしないかラ」
- エナ◥
- 02:17:27
- 「と、取るとか、そういうんじゃ…っ」
- スゥ◥
- 02:18:00
- 「良いノ。心配しないで。ボク、いつかはきっと忘れちゃうと思うから」
- エナ◥
- 02:18:48
- 「私は、ただ……」 踊ってるあんた達を見て、凄く綺麗だって思った…敵わないと感じた。そんな風に繋げようと思っていたら
- 02:19:09
- 「? どういうこと……?」
- スゥ◥
- 02:19:39
- 「ンー……」
- 02:21:26
- 「エト。あんまり人には言ったコトないんだ。みんなには、内緒にしてくれル?」
- エナ◥
- 02:21:40
- 「忘れるって、そんな……そこまで浅い付き合いじゃないでしょ…」
- 02:22:01
- 「え…? え、えぇ…」
- スゥ◥
- 02:23:29
- 「ボク、昔のコト、あんまり覚えてないんだ。記憶が抜けてて、虫食いみたいに」
- 02:24:21
- 「何でか分からないけど、一つ新しい思い出ができると、一つ昔のコト忘れちゃうみたイ。だから、子供の頃のコトはもう殆ど覚えてないノ」
- エナ◥
- 02:26:07
- 「は……? う、嘘でしょ? そんな様子、今まで全然…」
- スゥ◥
- 02:26:56
- ここではない、遠い場所にいた、そんな印象だけは、なぜかぼんやりとしているのに確信として感じられて。
- 02:27:08
- 「だって、言わなかったもン」
- 02:28:44
- 「あ、でもネ、昔教わった、踊りのコトだけは不思議と覚えてて…… これだけは忘れちゃわないように、いつも練習してるんだ」 えへへ、と笑って、 「あ、でも、すぐにエナたちのコト忘れちゃったりはしないよ! それはダイジョブだから」
- エナ◥
- 02:29:14
- 「な、なんで、そんな大事な事を黙ってんのよ…!ちゃんと神殿とか行った?ううん、記憶の妖精魔法…? いえ、やっぱりミリッツァの…」
- スゥ◥
- 02:30:10
- 「え? だって、聞かれなかったかラ」
- エナ◥
- 02:30:24
- 「何で、そんな事を私に言うのよ、ヘラヘラ笑ってる場合じゃないでしょ…! 記憶なのよ…?!」
- スゥ◥
- 02:31:12
- 「だから」
- 02:31:40
- 「エナが、誰の隣にいたいのかは、聞かないケド」
- エナ◥
- 02:31:47
- 「あ……ごめん、なさい…」声を荒げてから、辛いとしてもそれは本人であってこちらではない
- 02:32:31
- そんな当たり前の事に気付いて、肩を落とし謝罪の言葉を口にした。
- スゥ◥
- 02:33:06
- なんて言ったらいいんだろう。と、少女は目を伏せ、しばしのあいだ考えて、
- 02:35:27
- その唇がつむぐのは、たどたどしい交易共通語でなく、流暢な魔法文明語だ。
- 02:35:29
- 『どうせ忘れちゃうんだから、エナから取ったりしないよ。エナの敵 には最初からならない。ずっとそばに居られるのは、きっとエナの方だよ』
- 02:36:11
- うん、多分、これで伝わった。と、少女は満足げな笑みを浮かべてみせる。
- エナ◥
- 02:37:16
- 「……」カーッと顔が熱を帯び、赤くなる。
- 02:37:39
- 羞恥、ではない。
- 02:38:55
- 「ふっ、ざけんじゃないわよ……っ!!」 微笑む小柄な少女の肩を両手で掴み、怒りの声をあげた
- スゥ◥
- 02:39:27
- 「え、え……!?」 目を白黒させる。怒られる理由が分からない。
- エナ◥
- 02:40:32
- 「どうせ忘れる? 相手にならない? 良い訳ないでしょ…! 馬鹿なの…!?」
- 02:41:19
- 自分じゃ相手にならない、そんな風に考えていた事も棚上げして、叫んだ。
- スゥ◥
- 02:43:31
- 「……だ、だって――」 好きなヒトを取られるかもしれない、と思って、自分の事を煙たく思ったんじゃなかったのか。その原因が晴れたのに、どうして今まで通り接してくれないのだろう。
- エナ◥
- 02:43:34
- 「あんたが忘れたら、全部なかったことになるわけ? 忘れたから傍にいられないってどういう理屈よ? 私の、相手の気持ちはどうなんのよ!!」
- 02:45:21
- 「私は! 確かにあいつがあんたに取られそうだって思ったわよ!ええ、ビビってたわよ! しかも、あんたのいないところでズルして、抜け駆けみたいなこと…っ」」
- 02:47:25
- 「悪いのは、私の方よ…勝手に嫉妬して、壁を作って…本当に、そんなのばっかり…嫌になるわ」 自嘲する
- スゥ◥
- 02:49:42
- 『だ、大丈夫だよ、10年ぶんくらいの事は、ちゃんと覚えてるから……』 何よりもエナの激昂がこわくて、彼女の表情を上目で伺いながら、そんな的の外れた事を、言い訳めいた口調でつぶやいた。
- 02:51:01
- 本当は、少しサバを読んでいるのだが。それでも今はいい。エナがどうしてこんなに怒っているのかわからない。
- エナ◥
- 02:51:47
- 「10年? 10年ですって? 私は良いけど、あんた10年経ったらどうなってると思ってんのよ」」
- スゥ◥
- 02:52:55
- 「……分かんなイ」
- エナ◥
- 02:53:22
- 「23、4? とにかく、そこそこの年齢よ? じゃあ、次は? その次は? 訳も分からないうちに老けてくつもり? それも独りで」
- スゥ◥
- 02:54:12
- 自分の肩を掴むエナの手を掴み、それをはねのけて、「分かんないって言ってるノ!」
- エナ◥
- 02:55:31
- 「あっ、 このっ」抵抗しようとしたが前衛と後衛の違い、あっさりとはねのけられてしまう
- 02:56:49
- 「分かんないならちゃんとしなさいって言ってるのよ! 忘れない努力はしてるんでしょうね?!」
- スゥ◥
- 02:57:26
- 「だから言いたくなかったのニ……」 後ずさって、
- 02:57:44
- 「フューリアスだか、シンだか、知らないケド! 隣にいたいんでしょ。いればいいじゃン! それでいいじゃン! もうボクのコトは放っといて!」
- 02:58:13
- そう言って、逃げるように走っていってしまう。
- SYSTEM◥
- 02:58:57
- 様が退室しました。
- エナ◥
- 03:00:33
- 「ちょっと‼待ちなさいって! ああ、もう! 」 脚の速さではともかく、身のこなし、身軽さでは敵わない。追いかけたがあっという間に引き離されてしまった。
- 03:01:42
- 「はぁ……はぁ……、…はぁぁぁぁ……」 ぜいぜいと荒い呼吸を落ち着け、大きくため息を吐く
- 03:03:07
- 「どの面下げて言ってんのよ……こんな事ばっかり……あああ…」
- 03:06:39
- 「………嫌いになれたら、苦労しないわよ…」 そこまで落ちぶれてはいない。
- 03:11:44
- 呼吸を整え、立ち上がると〈星の標〉へと向かう事にした。待ち伏せるにも情報を集めるのにも都合が良い。
- 03:12:15
- 自分の進路についてはの悩みはひとまず棚上げする事にした。
- 03:14:39
- なんだろう、自分はこんな人間だったろうか。
- 03:16:42
- 周りに流されて堪え切れなければ逃げ出す。悲観的で臆病で、ありもしない可能性を気に病んで、そんな人間だった筈だ。
- 03:21:57
- 冒険者になってから虚勢を張り続けてきて、いつからだろうか、少しはこの虚勢に実がついたとでもいうのか
- 03:23:18
- 自分でもよく分からない感情を抱えたまま、帰路へとついた。
- SYSTEM◥
- 03:23:21
- 様が退室しました。
- ◥
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発言統計 |
その他(NPC) | 106回 | 90.6% | 5076文字 | 90.0% |
| 11回 | 9.4% | 565文字 | 10.0% |
合計 | 117回 | 5641文字 |