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2019/06/13
SYSTEM
02:07:29
 様が入室しました。
SYSTEM
02:08:03
 様が入室しました。
 
02:08:53
私は落ち込むと川面を見つめる習性がある
02:09:00
ほんまか?
 
02:09:01
いつもの川。
02:09:05
ほんまかも。
02:09:43
部屋でもいいけどね。ノックしにいく。
 
02:09:58
そっちでいいや
 
02:10:32
いいだろう。来い。
 
02:10:43
 
02:10:44
 
エナ
02:12:48
「……」依頼を無事終えて、報酬を受け取ると部屋に閉じこもった。猫(リーベ)はあの肉屋に預けたままだ。使い魔の猫は自ら動かない。それを抱いてベッドの上でじっとしている。
 
02:14:10
エナが部屋へと閉じ籠もって、どのくらいの時間が経っただろうか。しばらくは静寂に包まれていた部屋に、ノックの音が響いた。
エナ
02:15:46
「……」のろのろと顔をあげる。ノックの音、もっと言えば足音で分る。でも、と思う。今の顔をあまり見せたくない。
シン
02:16:32
「いるんだろう、エナ」 ノックの後に続いたのは、彼女にとっては聞き慣れた声だ。
エナ
02:18:36
「……」ぺたぺたとドアの前に向かう、思い出したように引き返して毛布を取ってきて頭から被る。開けない方がいい、と盛んに警告する自分と、開けて慰めて貰えと囁く自分がいる
シン
02:19:58
「開けるよ」 鍵を掛けていないのか掛け忘れているのか。掛かっていない事を確認すると、一言告げてから扉を開いた。 
エナ
02:20:50
「……」ドアノブに手を伸ばした半端な姿勢で固まっている毛布を被った姿と鉢合わせるだろう
シン
02:21:42
「なかなか奇抜な格好に着替えたものだね」 毛布を被って顔を半分くらい覆っている姿にそんな感想を漏らして。 「入っても構わないかな」
エナ
02:23:00
「……うん」 普段なら羞恥であるとか皮肉であるとか文句であるとか何かしら言い返すところだが、だいぶしょげているようだ
シン
02:24:19
「じゃあ、失礼するよ」 部屋の中へと踏み入って、扉を閉めた。 「君の部屋に入れて貰えるのは、初めてだな」
エナ
02:25:22
「え…あ、あ」 言われて気付いたという顔。 「ま、待って、ちょっと」
シン
02:26:09
「ああ。何か不都合があるなら場所を変えよう」
エナ
02:27:41
「そ、そうじゃなくて、ち、散らかってるし、恰好も」あとはなんだ、においか
02:28:29
「……あの、何しに、きたの」
シン
02:28:49
「だったら、俺の部屋でも構わないよ」
02:29:13
「話をしに――いや、様子を見に、かな」
エナ
02:31:01
「あ、あなたの部屋に、わ、私が…?!」今の状況もそう変わらないと云うのに、慌てて
02:32:09
「……見ての通りよ、ごめんなさい…」様子を見に来たという答えに肩を落とし
シン
02:32:36
「女性の感覚はあまり分からないが、少なくとも不快に思われない程度に清潔にはしてあるつもりだよ」
02:33:23
「謝らなくていい。君が悪いというわけでもない。むしろ、謝るのは彼を連れていく事に同意した俺の方かもしれない」
エナ
02:34:59
「……」ベッドに腰を下ろした。とりあえず追い出す気も移動する気もないという事のようだ
シン
02:36:14
「隣、いいかな」 ベッドに座ったエナに近づいて、近くの椅子を引いて借りるでもなく、いつもどおりの表情のまま言ってのけた。
エナ
02:37:18
「……スゥとね、話したの」頷き、口にしたのは問題からは離れたものだ
シン
02:38:10
「ああ」 エナの隣に腰を掛け、話に耳を傾ける。
エナ
02:38:51
「謝って、また話をしようって…魔域に入る前よ」
シン
02:39:36
「少し遅れて来たのは、そういうことだったか」
エナ
02:40:38
最後にスゥに告げた言葉に偽りはない。ただ、それを今話すのは躊躇われた。
02:41:39
「それまではずっとスゥとどう話そうかってばかり考えてた……だから、駄目だったのかも」
シン
02:42:34
「駄目だった、というと?」
エナ
02:43:09
「フューリアスの事、分かってるつもりだった……復讐の対象が現れたら正気でいられないだろうって、」
02:44:58
「だから、警告もしたし、約束もさせた。 なのに……」
シン
02:46:52
「今回に関しては、彼は復讐だけで周りが見えていなかったというわけでもないだろう」
エナ
02:48:02
「ええ、そう。見誤ってたのは彼が思っていた以上に私達を大事に思ってたこと
シン
02:49:14
「そうだね。君たちも、彼自身も、お互いにそれぞれの事を軽んじていた」
エナ
02:49:58
「あのメンバーならどうとでもなるって、私も高を括ってたのよ…」
シン
02:51:33
「周りにどうにか出来るのは限界がある。たとえどんな人間が揃っていようともね」
エナ
02:53:10
「…分かってるわよ、そんなの」
シン
02:53:18
「で、君はその責任を自分に求めて、そうやって落ち込んでいるわけか」
エナ
02:53:55
「彼を叩いてから、気付いたのよ。私も同じだって」
シン
02:54:22
「同じ?」
エナ
02:55:03
「あいつを挑発して、こっちに注意を向けようとしたの、気付いてたでしょ」
シン
02:55:51
「ああ」 彼女がよくやっていることだ。そうしながら、震えているのも知っている。
エナ
02:57:23
「たぶん死なないだろうって、そのくらいは考える、つもりだったけど」
02:59:36
「攻撃が分散すれば、あなた達の負担が減るし、相手が乗るか確実じゃないけど、私でも役に立てるのはこのくらいかなって…合理的なつもりだったのよ」
03:00:34
「でも、やってたことは彼と同じ…マリヤまで巻き込んでる分、こっちの方が悪質でしょ」
シン
03:01:14
「君の今言ったことにも、理がないわけじゃない。此方が助かる事もあるのは確かだよ」
03:01:54
「けど同時に、これも君が今言ったように仲間に別の負担を強いることでもある。それに自分で気付けたのには、少し安心した」
03:03:58
「さっき、お互いにそれぞれの事を軽んじていたと言っただろう」
エナ
03:04:06
「…うん」
シン
03:05:08
「そういうことなんだ。少し厳しい言い方になるが、君たちのそれは信頼や守護ではなく、まだ独り善がりでしかない」
エナ
03:06:39
「うん……」膝を抱える、分かっていた、いや気付かされたことだ。それもフューリアスに限った話じゃない。
シン
03:07:43
「フューリアスは、目覚めた後、『手が届いたから』と言っていたが、とんだ思い違いだ」
エナ
03:08:29
「…?」思い違いという言葉に顔を僅かに上げ
シン
03:09:16
「あれも彼のエゴでしかない。あんなやり方で手を伸ばして護れるものなど、ありはしないよ」
03:10:04
「ただ、彼の事情を考えるに、きっとそう思ってしまうのも仕方のないことなんだろう」
エナ
03:10:35
「彼は…たぶん、もう見たくないのよ……目の前で大事なものを失いたくない……死んでも」
シン
03:11:30
「だからエゴなんだ。他人がそれをどう思っているかを、冷静に見られていない」
エナ
03:12:24
「……あなたは?」
シン
03:12:36
「……俺?」
エナ
03:13:16
「そう、私達のことを君達って……あなたは、どうなの…?」
シン
03:15:25
「君たちよりは、冷静に見ているとは思う。けど、俺だって完璧にこなせているわけではないよ」
エナ
03:16:42
「そう…?」 彼は冷静で、いつも堅実に、着実に為すべきこと成し遂げる、
シン
03:17:57
「ああ。あくまで、そう努めているに過ぎない」
エナ
03:18:17
自分や仲間たちが犠牲になる事があっても、きっと感情に左右されずに事を為せるのではないか。そんな風に考えていた。そして、それは少し寂しいことだとも
03:19:18
「いつも心配かけてばかりね…」
シン
03:19:36
「……本当にね」
03:19:51
「……俺はね」
エナ
03:19:57
「そ、そんなに…?」
シン
03:21:02
「本当なら、此処であまり特定の相手と深く関わり合いになるつもりはなかった」 エナの質問には答えず、軽く開いた自分の掌を見つめて言う。
エナ
03:22:33
「……」私も、そうだった。そうと決めてこの土地に移って来たのに、いつの間にか様変わりしてしまった。 いつからだろうか?
シン
03:23:21
「誰が死のうが、誰を殺そうが、大きく動揺することはない。だから、自分が送られたのだと思っていた」
エナ
03:24:41
「さびしいね」素直な気持ちだ。そう、故郷で行くたびも裏切られて、人を信じる事が出来なくなっても、どうしてか切り捨てることが出来なかった。
シン
03:26:01
「ああ。自分はそういう人間で、“良い人”の言葉を口にして、上辺だけの付き合いで十分だと思っていたくらいだからね」
03:26:56
「信用は、金を介した契約にだけ付随すればいい。君と会ったばかりの頃なんかは、本当にそう思っていたよ」
03:28:27
「けど、君たちと過ごす内に、本当に顔に出難いだけなんだと痛感したよ」
エナ
03:28:56
「……それは、私も」 口にしていたのはいつも貸し借りや金銭の話ばかりだった。
シン
03:30:15
「君たちの不安定さに心配になることもあるし、微笑ましく思うこともあるし、最近は……そうだな。怒りに近いものも頻繁に覚えるようになった」
エナ
03:30:43
「ご、ごめんなさい…」
シン
03:31:48
「謝らなくていい。そう思っているのは、俺のエゴだからね」
エナ
03:32:23
「今のが…エゴ…?」
シン
03:32:48
「自分の中で思っているだけの内は、ね」
03:33:16
「だから、それをエゴや独り善がりで終わらせないように、今は君たちの助けになることが出来ればいいと思う」
03:34:08
「……何処まで口を挟むべきなのかは、未だに悩んでいる所だけどね」
エナ
03:34:45
「……どうして、そんなに助けてくれるの?」 こんなことは、重荷でしかないだろうに
03:35:56
口にしてから何をバカな、と気付く。彼自身が言っていたではないか
シン
03:36:20
「この前も言ったように、そうしたいと思っているから――好きなんだろうな、君たちのことが」 少し前に話したばかりの言葉に、もうひとつ付け加えた。
エナ
03:37:32
「……私も、」
03:39:28
「ううん……私は、あなたが好き」 まだ言うつもりはなかった、けれど、打ち明けてくれた心に応えたいと思った
03:40:08
君達の事が好きだという言葉に、「私も」ではなく「私は」と返したのは、自分のエゴだ。
シン
03:41:43
「……ああ」 頷いた、のではなく、自然と声が漏れた。 「……すまない、卑怯な言い方をした」 自分の落ち度を恥じるように額に片手を当て、前髪をかきあげた。
エナ
03:42:04
「ううん」
シン
03:43:18
「……さっきの言葉に嘘はない」 君たちのことが好きだ、という。 「けど、その中でも、君に対する感情だけは特別なものだ」
エナ
03:45:28
「私は、面倒臭いでしょ。弱くて、ずるい。あなたがいつも助けてくれるから。欲しい言葉をくれるから、そんな理由で好きなのかもしれない」
シン
03:48:45
「そういう所があるのは否定しないよ。けど、君はそこに留まっているだけじゃない。藻掻いて、苦しんで、悩みながらどうにかそこから抜け出そうとしている」
エナ
03:48:49
「此処に来る前に、人に裏切られたの。切り捨てられた。私は後妻の子で、穢れているからって」
シン
03:49:41
「……ああ」 彼女の言葉の端々や種族を考えれば、ある程度の事情は察せていた。
エナ
03:51:08
「学院にも居られなくなって、仕事も長続きしなくて…」
03:53:27
「お父様は私を迎えてくれたけど、戴いたものも守れなかったの……家族も居場所も、何も残らなかった…っ」
03:54:50
「だから、此処に逃げてきたの…でも、居場所を作る気なんて無かった」
シン
03:56:06
「……」 いつも逃げ道を探し回っている。いつか彼女が言っていた言葉を思い出す。
エナ
03:56:39
「誰かに頼ろうなんてやめようって決めてたのに、結局、さびしくて」
シン
03:57:53
そうでありながら、あの時も、今も、寂しくて、弱い自分が腹立たしく思えて、抗い続けているのだろう。
03:58:53
あの時は、彼女自身からははっきりと口にするのが無理だと言っていた言葉が、今彼女の口から紡がれている。
エナ
03:59:05
「貸し借りだけ、お金だけの関係だって、決めてたのに……何で思う通りにいかないんだろう、自分の心なのに」
シン
04:01:10
「どうしてかは、俺からはちゃんとした答えはあげられそうにない。が、」
04:01:56
「思い通りにいかなかった先にある結果が、必ずしも不幸なものというわけではないと思うよ」
エナ
04:03:09
「でも、だって…私がもっとちゃんとしていたら、冷静に、賢く立ち回れていたら、きっと逃げる必要なんてなかった…っ」
シン
04:04:47
「過去の事は過ぎたことだ、気にしても仕方がない――とは言わない」
04:05:37
「けど、起こってしまったことは変えられない。……だったら、次はそうならないよう、今の君が得たものを大事にしてくれ」
エナ
04:07:43
「今の、私の…」涙にぼやけた視界でじっと掌を見つめる。此処であった仲間、友人、そして、好きになった相手
シン
04:07:49
「振り返って辛ければ、俺の胸を貸そう。見えない先の恐怖に押し潰されそうなら、俺が切り拓こう」
04:08:22
「俺だけじゃない。君に力を貸してくれる相手、君が力になりたいと思う相手は、他にも沢山いるだろう」
エナ
04:09:21
「……うん」
04:11:15
「私……今は、まだ役に立てないかもしれない」
04:11:56
「そう……まだ、だから……いつか、もっと強くなる、なりたいから」
04:12:48
「待っていて、くれる…?」
シン
04:13:51
「……俺は、あまり辛抱強い方ではなくてね」
04:14:09
「あまり待たされていると、此方から迎えに行ってしまうかもしれないよ」
04:16:05
「まして、そんなに可愛らしい表情を見せられると、ね」 エナの頭に手をぽん、と置いてから立ち上がる。
エナ
04:16:35
「…えっと、あの、ま、待つって言うのは、わ、私が、あなたを支える側にって意味で…っ」」
04:17:45
「だ、だから、えっと…ほ、他のことは、 ま、待たないでも、いいから……
シン
04:19:32
「そうか。なら――」 頭に置いた手を、エナの顎へと持っていって、軽く上を向かせて。 「我慢は必要ない、ということでいいね」 その唇に、上から唇を重ねた。
エナ
04:21:53
「ん―――……」 触れた唇のぬくもりに胸の高鳴りと深い安堵を覚える。
シン
04:22:51
「…………」 しばしの間を置いてから、唇を離す。相変わらず顔には出ないが、鼓動が随分と早くなっているのを感じる。
04:23:56
「……今はそろそろ、部屋に戻っておくよ。これ以上はどうなってしまうか分からない」
エナ
04:25:34
あなたが、好き。優しいところも、強くて、助けてくれるところも、時々無神経で意地悪ところも、好き。 日記に書いて、言葉には出来ないと思っていた事を、口にしよう、そう思っていたら
04:26:54
「……」離れた唇を少し残念そうに見つめ、そんな風に見ていた事を恥じ
04:28:07
「ど、どうなってしまうって……ど、どんな…」
シン
04:29:25
「俺も男だ、ということだよ」 エナの頭を、少し髪が乱れてしまうくらいにくしゃくしゃと撫でて。
エナ
04:30:11
「………」こちらは目に見えてハッキリと分かるほどに、耳から首まで真っ赤に染まり、俯く
シン
04:31:30
「一度部屋に戻って、しばらくしたら迎えに来るよ。そうしたら、夕食にでも出よう」
エナ
04:31:34
待たなくてもいい、と口にしてしまったことがとてつもなくはしたない事だと気付いた。まだそこまでの覚悟はない
04:32:26
「…うん」素直に頷いた。たったそれだけの事で胸が温かくなる
シン
04:33:28
「流石に毛布を被ったまま外には出られないから、ね」 冗談らしくそう言って、部屋の扉へと歩いていく。
エナ
04:33:42
「…じゃあ、また。  後で」
シン
04:33:50
「ああ、また後で」
04:34:16
振り向いてそう返し、ノブに手を掛けて開き、外へと出て、閉める。
04:35:11
「……これを顔に出さないというのは、思ったよりも大変だな」 扉を背にそう独りごち、フードを目深に被り、自分の部屋への僅かな距離を歩いていった。
エナ
04:35:32
「………」独りになった部屋の中、再びベッドの上に座り込み、放心状態となっている。
04:36:23
いろいろと一杯一杯だ。考えがまとまらない。
04:37:43
「あああああああ」枕の下に頭を突っ込み、身悶えする。今日は眠れそうもない。
04:38:11
ああ、でも、眠れなくてもいい――どうか、どうか、これが夢ではありませんように
 
04:38:17
 
04:38:18
 
 
04:38:39
言葉は不要だ。( ˘ω˘)スヤア
 
04:39:16
( ˘ω˘)スヤァ
SYSTEM
04:39:22
 様が退室しました。
SYSTEM
04:39:24
 様が退室しました。
発言統計
その他(NPC)141回91.0%5813文字97.4%
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