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20190614Y_0

2019/06/14
SYSTEM
20:55:41
 様が入室しました。
TOPIC
20:55:47
星の標 by  
SYSTEM
20:55:52
様が入室しました。
 
20:55:57
よろしくお願いいたします。そうろう
20:56:16
お手柔らかに……よろしくお願いします
 
20:56:26
 
20:56:26
 
20:56:27
 
20:56:33
イルスファール王国星の標。
20:56:55
数多くの冒険者が所属し、そして、中には宿として利用している者もいる。
20:57:38
そんな宿の夜の時間帯、星の標の宿の一室の廊下で、一人の少女がその部屋の主を待っていた。
20:59:17
見慣れぬ筒のようなものを持ち、すれ違う人々から軽く挨拶をされれば、微笑みながら対応する。
フューリアス
21:00:27
部屋の主はそう時間が経たない内に現れた。湯を借りていたらしく短く白い髪が湿っている。
21:01:21
――やあ、マリヤ君」部屋の前で立ち尽くす少女を見て一度表情を堅くしてから、緊張の色を隠しきれないままこんばんはと呼びかけてみた
マリヤ
21:01:28
彼の姿が見えると、少女は軽く頭を下げた。いつものように、柔らかく微笑んで。
21:02:18
「こんばんは、フューリアスさん」まとうソレは穏やかなものである。果たして、先日の依頼の帰り、全くしゃべらなかった人物とは思えないほどに。
21:03:15
マリヤがいるのは初めてのことではない。彼女はフューリアスが眠れるように助け、見守っている。
21:03:46
あの依頼以来、こうして会うのは初めてのことである。
フューリアス
21:04:04
「ああ、うん、こんばんは」若干迷って、結局鸚鵡返しである。友人に頑張ってみるとは言った物の実際にその時となると上手く行かないなと内心歯噛みして
21:05:54
死の淵に立つと言うのはそれ自体が激しく体力を消耗させるようで、あれからは幸いに夢を見ることは無かった。故に彼女とこうして会うのが今になったとも言うのだが
マリヤ
21:06:10
その様子には気づいていた。シンならば、うまく隠せたであろうソレを隠しきれていないことに、目の前の青年は誠実であるのだろうと改めて思う。
フューリアス
21:07:31
「……とりあえず、入って」手に持っていた鍵で扉を開き、どうぞと少女を招き入れる。必要最低限の棚とベッド、窓が一つあるだけの部屋である。
マリヤ
21:08:24
「ありがとうございます」声音からも、怒りや憤りや冷たさは感じられない。穏やかで柔らかな声である。
21:08:52
そう、いつもどおりの
フューリアス
21:10:07
声音も、顔色からも、あの時の狼狽と憤り、涙を感じさせる様子は無い。完璧すぎるほどに目の前の彼女は聖女然とした立ち居振る舞いをしていた。
マリヤ
21:10:12
招かれて、ベッドサイドに置かれた簡易的な椅子にいつも通り自分は座り、先ほどもっていた筒と容器を出して、お茶を淹れた。
21:11:29
「店主がマギテック協会から試作品をいただいたそうで…持ち運びもできて、保温性に優れた容器だそうです」渡された容器の中身は少しあたたかいハーブティーである
21:13:32
「しばらく経ちましたが、お仕事の疲れはとれましたか…?」自分もひと口ハーブティーを飲んで、柔らかく問いかけた。
21:13:44
いつも通り、穏やかに、体調や近況について尋ねる。
フューリアス
21:14:11
「そうなんだ、マギテック協会はこう言う物も作っているんだね」カップを受け取り――いつもはベッドに腰掛けるが、今日は窓の縁に寄りかかった。
21:15:46
「体の調子は戻ったよ」当たり障りの無い、よくある会話である。
マリヤ
21:16:32
「そうでしたか…よかったです」ホッと息をついた。傷は治癒したが…あの傷は深い物であったから、心配していた。
フューリアス
21:18:15
「……いや、うん、やめよう」このまま当たり障りの無い話をして、また何時の間にか眠れば何も起きない、それは間違いないが
マリヤ
21:18:34
「…フューリアスさん?」
21:19:44
一瞬瞳の中が不安げに揺れた。予想はしていたが…こうして会って話をするのを、やめたいということだろうか。
フューリアス
21:20:05
カップのお茶を一息に飲み干し、サイドテーブルに置く。「自分は、いや、俺はシン君のように気は利かないしエナ君やエレナ君のように学術に秀でてない。スゥ君のような愛嬌なんてのは正しく寸分も持ち合わせていない」
マリヤ
21:21:17
何か悩みがあるのだろうか…それとも、先日の依頼でまた精神的に不安定になってしまったのだろうか…と頭をめぐらせる。
フューリアス
21:21:17
「だからごめん、途中で自分でも何がいいたいかわからなくなったり詰まったりするかもしれないけど。正面から言うよ、君とちゃんと話がしたい。聖女マリヤではなくマリヤ君、君と」
マリヤ
21:22:01
その言葉には少し目を開き、そして目を伏せ、困ったように微笑んだ。
21:23:07
「エナからも同じことを以前言われました…。その時もエナに申し上げたのですが…フューリアスさん、私は…聖女と呼ばれる女性ではありません」少し首を横に振り
21:23:57
「…見届けると申し上げましたのに、貴方とのお約束も守れず…感情的にもなりました」
21:24:38
「貴方が目的のために死地に向かうであろうことも、誰かを守るためにその身を投げ出すことをいとわないこともわかっておりました…でも」
フューリアス
21:24:53
「でも?」
マリヤ
21:24:59
「私はそれに…貴方を失うことに、耐えられなかった…そんな女です」
21:26:19
「…エナやレナ…シンさんや、スゥさんも、同じような気持ちであると思います」
21:29:09
「…貴方が復讐に身を捧げ、覚悟をもって、己の身を削って戦っているとしても」
21:29:21
私は貴方に生きてほしいです
フューリアス
21:30:21
「……ああ、参ったな。話をしたいなんて言っておいて、言わせる一方だ」
マリヤ
21:31:14
窓の外の月を、雲が多い、影ができた。
21:31:15
刹那
21:32:26
「私にもっと力があれば、貴方にそうさせることもなかった」その瞳に宿る色に、フューリアスは見覚えがあるだろう。
フューリアス
21:34:25
「マリヤ君……」その瞳の色は、確か――
マリヤ
21:34:59
諦め
21:35:17
失ったものにもう手が届かないことを知り、絶望している目である。
21:36:42
初めて見ただろう、なぜなら、この宿に来て誰にもコレを見せることなどなかったのだから。エナにさえ、深く見せることはなかった。
フューリアス
21:38:04
「……っ! マリヤ君!」腕を掴み、有無を言わせず抱き寄せる
21:39:06
「駄目だ、それは駄目だ――そこから先は駄目だ
マリヤ
21:39:24
その言葉で、悟られたことに気づいた。
21:40:21
「ありがとうございます…フューリアスさんは、優しいのですね…やはり、貴方は生きるべきです」静かに涙が流れた
フューリアス
21:40:47
「俺は、生きている。君達の、いや、君のお陰で生きている」
マリヤ
21:41:30
「ええ…私は、そうしたくて、ここでまだ生き続けているのです」
フューリアス
21:41:52
「失った物に手は届かないけど、君の手はちゃんと、俺に届いた」
マリヤ
21:42:04
フューリアスの体は暖かい。でも、私はソレが冷たくなる瞬間を知っている。
フューリアス
21:43:42
「ああ、くそ……言いたいことは沢山あるのに、ちっとも出てきやしない」
マリヤ
21:44:25
「…そのお気持ちだけで、十分です。もったいないくらいです」
21:45:09
「…フューリアスさん、私は本当はここでこうしているべきかも悩むような女です」
21:45:48
「ずっと昔、幼いころはある神殿にいました、ヴァルキリーとして…貴方やエナが言う、聖女として、いてほしいと乞われて」
フューリアス
21:46:24
「……うん」抱きしめる腕を放さないまま、語る言葉に耳を傾ける
マリヤ
21:46:25
「最初は嬉しかったです、私の力が、誰かを助けることができなら、と、そう思っていまし
21:47:28
「綻びは些細なことでした、家に帰りたいと思ったのです、里帰りを申し出ました」それだけなら普通のことであるだろう
21:47:53
が、その次に出てきた言葉からは、普通ではない
21:48:09
「私の目の前で私の世話役の子どもが殺されました」
フューリアス
21:48:36
「っ……」腕に力が篭った
マリヤ
21:48:46
平坦な声である。こうでもしなければ、おさえられないきもちがある。
21:49:02
「聖女をたぶらかしたと、罪に問われ、殺されました」
21:49:28
「殺さないでほしいと願いました、翌日また別の子どもが殺されました」
21:49:54
「聖女をたぶらかす悪魔に慈悲を与える必要はなく、貴方の顔を曇らす存在は全て消しました、と」
フューリアス
21:50:46
――」言葉が出てこない
マリヤ
21:50:54
「以来言葉には慎重になりました。表情も、望まれるままに作りました」淡々と
21:51:12
「次に誤ってケガをしてしまいました、そして同じことが繰り返されました」
21:51:32
「ならば誰ともかかわらなければよいと、これ以上誰も犠牲を出したくないと、世話役など必要ないと伝えました」
21:51:51
「………全員が殺されました。聖女に望まれぬのならば、彼らは不要だと」
21:52:32
「…ある時、当時冒険者をしていた義母…今は異大陸で大司祭の地位をいただいている方に神殿が摘発され、私は彼女の養子となりました」
21:53:46
「彼女のそばにいるときは安らぎを得られました…が。おそらく、関連者がまだいたのでしょうね、宗教上の暗部の生きた証人である私から告発されるのを恐れたのでしょう…義母がいない間に、この大陸で布教につとめるようにと、挨拶をする間もなく、ここへ参りました」
21:55:10
「なぜヴァルキリーとして生まれたのだろうと考えた時もありました、でも、私がヴァルキリーであることは…誰も救えなかった事実は変わらない」
フューリアス
21:55:28
ぎり、と歯をかみ締める。そうでもしなければ怒りで叫んでしまいそうなのだ。
マリヤ
21:55:41
「…助けてほしいと、求めたこともあり、動いてくれた人もいました」
21:55:55
「…翌日、同じように殺されました、私を助けようとしたばかりに」
21:57:49
「……エナや貴方や…神殿の一部の方が誤解されているのは……聖女であれば誰も殺されない、ということが、まだ私の中に残っているのでしょう」
21:58:50
歯をかみしめるのをみて、ああ、怒っているのだと気づいた。
21:59:01
息を吐いて
21:59:43
「…おわかりになりましたでしょう、フューリアスさん。私は、聖女などという高尚な存在ではないのです」あの時たたいてしまって頬の手を添えて
フューリアス
22:00:15
「マリヤ君、俺は――」何を言えばいいのか、何を口にすれば彼女の心を護れるのか。しかし何も出てこない
22:03:23
「……絶対に死なない、なんて軽々しく言えない。俺はきっと、それが必要なのであれば、きっとまたやってしまう
マリヤ
22:03:48
「…ええ、貴方は優しい人ですから」
フューリアス
22:04:21
「だからこんなことしかいえなくて、ごめん」彼女の金の髪を撫で、顔を真正面から見据える
22:05:17
出来る限り足掻いてみせる、生きる為に
マリヤ
22:06:05
「……よかった」ぽつりと
フューリアス
22:06:06
「星が降ってきても、最後まで足掻いてみせる。だから」
マリヤ
22:06:28
安心したようにそう呟いた。 「…?」だから?
フューリアス
22:07:03
「失った物に手は届かないけど、これから手に入れていくものを諦めないでくれ」
22:07:28
「俺も、君に生きていて欲しい」
マリヤ
22:07:53
その言葉には驚いたように目を見開いて
22:08:19
わなわなと震えた。再度、涙がとめどなくあふれた。まるで、小さな子どものようだ。
フューリアス
22:09:19
「ああ、泣かせてしまった――俺は駄目な男だな」抱き寄せて背中を擦る。言葉で慰めることは出来ないが、これくらいは出来ると
マリヤ
22:10:09
「……めなの」
フューリアス
22:10:22
「うん?」
マリヤ
22:10:27
「だって、そんな………」
フューリアス
22:10:59
「いいよ、我慢しなくて」
マリヤ
22:10:59
「フューリアスさん、それは、だめです、だって、私が私のために生きたら」
22:11:07
「なんのためにあの子たちは死んだのですか」
22:11:47
「私が私のために生きたから、あの子たちは死んだのに…っ」
フューリアス
22:12:58
俺は生きてる
マリヤ
22:13:00
「私が聖女であればっ、あの子たちは死ななかったのに…!」
フューリアス
22:14:19
「君に君の為に生きてほしいと願う俺は、まだ生きてる」
22:15:20
「その子達の代わりにはなれない、それはわかってる。俺もそうだから」弟妹達の代わりには、誰もなれない
22:17:10
「だから、せめてこの先は、ここから先は――生きてくれ」
22:19:35
「エナ君もエレナ君も、シン君もスゥ君も、俺もまだ誰も死んでない。そうだろ?」
マリヤ
22:20:13
「……本当は」ぽつりと
22:20:58
「なぜ、自分が生きているのか不思議でした。どうして、私だけ生き残ってしまったのだろう、と」
22:21:27
「死のうとしたこともありました、でも、そうしたら他の子どもが殺されました。だから私は死ぬこともあの子たちに詫びることもできなくて」
22:22:04
「ならばせめて誰かの役に立って死のうと思いました、誰かのためにこの命を使おうと」
フューリアス
22:22:15
あやすように背中を軽く叩きながら先を促す。いっそ全部吐き出させてしまおうと
マリヤ
22:22:23
それは誰かの考えと酷く似ている、と気づいたかもしれない。
22:23:33
「だからあの時、貴方が身を投げ出した時、怒りとともに、嫉妬もいたしました。私が望むソレを選べた貴方に」
22:24:08
フューリアスにすがりつく手に力がこもった
フューリアス
22:25:17
「うん」一つ一つの言葉をしっかりと噛み締める。これは自分だと思う。復讐の果てに死ぬのではなく、贖罪の為に生きると誓った自分だと
マリヤ
22:26:00
「…ごめんなさい、フューリアス
フューリアス
22:28:38
――」気味は悪くないと言い掛けて口を閉じる。果たしてそれは誤魔化すようなその言葉はどうなのかと考えて
22:29:23
「平手打ちは、すごく痛かった、かな」なので率直な感想を言った。光が直撃したときよりもずっと心が痛かったと
22:29:59
君は悪くないだった
マリヤ
22:30:17
それを聞いて顔をあげた強くたたきすぎてしまっただろうか、と思い、涙にぬれた目で見上げ、頬に再度手を添えた
22:30:48
「(戦士の方だからと思っていたのですが、やはり痛かったのですね…ああ、それとも、無意識に何かしてしまって…?)」
22:30:56
珍しく、表情に焦りが見える。
フューリアス
22:32:55
「痛かったから、嬉しかった。こんなのが痛いって思っちゃう程、大事な人たちがここにいてくれるんだって」
マリヤ
22:32:57
「あの…ご、ごめんなさい…強く、叩きすぎてしまって…」本音を言えば初めてである、このように人を平手打ちしたのは
フューリアス
22:34:24
「ありがとう、マリヤ。出来るだけ、出来るだけ足掻いて見せるから。見届けてほしい」果てではなく、今を
22:35:56
頬に添えられた手に自分の手を重ね、曖昧にではなく、確かに微笑む。
マリヤ
22:37:32
「…はい」微笑んで、頷いた
フューリアス
22:37:33
「ああ、本当にだめだね俺は。結局何を言いたいのかがあやふやだ」そう言って苦笑いを一つ
22:38:40
――いつか、そう遠くない内に、俺もちゃんと話すよ。あの日の事を」自分の復讐が始まった日の事を
マリヤ
22:40:09
「…はい」内容については察しがついている。でも、彼の口から直接聞いたことはない。
22:40:18
ならば、彼が話すまで、待とうと、そう、思う。
フューリアス
22:41:38
「うん、待たせてしまうけれど、必ず話すから」そういいながら、抱きしめたまま窓の外を見上げる。雲は晴れただろうか
 
22:43:00
いつのまにやら雲は晴れ、やわらかい月の光が差し込んでいる
マリヤ
22:43:20
「…月が綺麗ですね」シーン様が見守ってくれているのだろう
フューリアス
22:44:37
「ああ……とても綺麗だ」月の光は力強くは無いが、その分優しい
22:45:22
「……その、ごめん、急に、こう」ここまで来て、ようやく強引に抱き寄せたことにじわじわと色々な感情がこみ上げてきた
マリヤ
22:46:05
「…………っ」
22:46:18
頬がわずかに紅く染まった。
22:46:33
「い、いえ、だ、大丈夫です!」何が大丈夫なのだろうか
フューリアス
22:47:46
「う、うん……でもごめんついでに」
22:47:55
「もう少しだけ、このままでいいかな」
マリヤ
22:48:13
「……」こくり、と頷いた
22:50:06
腕の中の少女は戦闘の時などは凛と立っている印象であろうが、実際はか細い少女である。
22:51:33
ぎゅっと、フューリアスの服を握る手に力がこもる。顔を寄せる。表情など、恥ずかしくて見せられたものではない。
22:52:08
「ありがとう」改めてしっかりと抱き寄せ、しっかりと刻み付ける。護る為に生きるのだと。
22:52:47
そんな二人を、冴え冴えとした月だけが見下ろしているのであった――
 
22:53:11
であった。
22:53:34
おつ、おつ、おつかれさまでした(土下座
 
22:53:52
お疲れさまでした。フューリアスのお兄ちゃん力にわからせられてしまった…。
22:54:21
こちらもわからせられてしまったよ――いつまでおにいちゃんでいられるかおじさんはしんぱいです
22:54:43
改めてありがとうございました(五体投地)
 
22:54:51
ありがとうございました、おつかれさまでしたー
22:55:03
では撤退!
 
22:55:09
はい!
SYSTEM
22:55:12
 様が退室しました。
SYSTEM
22:55:13
様が退室しました。
発言統計
その他(NPC)143回87.7%6101文字92.3%
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